EXHIBITIONS

朴栖甫 展

2022.03.26 - 05.07

朴栖甫 Ecriture No.140112 2014

朴栖甫 Ecriture No.090725 2009

朴栖甫 Ecriture No.090809 2009

朴栖甫 Ecriture No.080502 2008

朴栖甫 Ecriture No.080915 2008

 朴栖甫(パク・ソボ)は1931年韓国・慶尚北道醴泉生まれ。モノクロームの線画や韓紙の質感を活かした作風を発展させた韓国現代美術の先駆的存在であり、単色画を代表する作家だ。

 朴は単色画の源流とされる東京画廊での「5つのヒンセク<白>:韓国五人の作家」展(1975)に参加し、その後も同ギャラリーで過去6回の個展を開催してきた。本展では「後期描法」による作品15点に、ドローイング2点を加えた、計17点の作品を展示する。

 朴の「描法」シリーズは、3つの手法に分けることができる。60年代後半からの鉛筆の線画を描いた「前期描法」、韓紙を用い始めた80~90年代の「中期描法」、そして2000年以降の「後期描法」だ。本展で展示される「後期描法」の作品は、「色描法」とも呼ばれる通り、水を含んだ韓紙の上で反復される縦線の立体感と、鮮やかな色面を特徴としている。

 この「後期描法」は、2000年秋の個展に向けて来日した際の、磐梯山(福島県)訪問をきっかけに生まれた。山頂から見下ろす紅葉の風景は、風向きで刻々とその表情を変え、まるで「押し寄せてくる炎のようだった」という。自然の色彩に魅了された朴は、「後期描法」による作品の制作を開始。モノクロームの色面において自然との同化を示唆し、時代の変化を超えた慰めと労わりのメッセージを伝える。

 なお本展開催にあわせて、美術評論家の峯村敏明とKate Limによる評論文を掲載したカタログ出版を、今年9月に予定している。