ムラタタケシ

　極彩色を取り入れたサイケデリックなアニメーション・パターンが観客を異空間に引き込むような《Pink Dot》や、コミックキャラクター「ポパイ」をアイロニカルな空想で新たなラブ・ストーリーに展開する《I, Popeye》などのビデオ作品。あるいは水面の絶え間ないモーションを、視覚的錯覚を援用して空間内に現前させる《Melter 3-D》など、デジタル技術とアナログ的な手法を横断的に用いた制作活動を行うムラタタケシの個展が開かれる。

　ムラタは1974年シカゴ生まれ。2016年よりロサンゼルスを拠点に、ニューヨークのカッティングエッジを代表するギャラリー「サロン94」やサンフランシスコの「レイシオ3」に所属し、これまでワシントンのハーシュホーン美術館での個展、サンフランシスコ近代美術館やニューヨーク近代美術館、ニューミュージアム、ロサンゼルス現代美術館、また北京やポーランドの美術館でのグループ展など、アメリカ国内外で数多くの展覧会に参加してきた。

　日本で10年ぶりとなる本展では、ムラタの創作の原点ともいえるビデオ作品と新作の写真作品に加え、派手にカスタマイズされたローライダーや日本のデコレーショントラック（デコトラ）、1980年代にイタリアで結成されたエットレ・ソットサス率いる前衛的なデザイナー集団のメンフィス・デザインなどから影響を受けたオブジェを一堂に展示する。