EXHIBITIONS

明治・大正時代の木彫

2022.03.05 - 05.29

石川光明 鍾馗 高 21.6cm 1913(大正2)

高村光雲 月宮殿 高 11.3cm 1918(大正7)

山崎朝雲 童と犬 童 41.5×15.0×22.0cm 1915(大正4)

 清水三年坂美術館が、近代の細密工芸のコレクションによる展覧会「明治・大正時代の木彫」を開催する。

 日本では古くから木製の仏像・置物・細工物などが盛んにつくられてきた。明治は社会変動に伴い、それら木彫を取り巻く環境が変化した時代。とくに西洋の「美術」および「彫刻」といった概念の流入は、木彫界にも大きな影響を及ぼした。

 帝室技芸員として知られる高村光雲(1852〜1934)や石川光明(1852〜1913)らは、この激動の時代に台頭し、明治から大正にかけて指導的役割を果たした。明治・大正時代には、木彫の近代化を目指して様々な試みがなされたいっぽう、前近代から存続してきた置物や細工物の世界においても森田藻己(1879〜1943)の木彫根付など、高い技術力を駆使した名品が生まれ、また光雲・光明・藻己ら東京を拠点とした作家のみならず、大阪などの地方でも木彫の作家たちが活躍した。

 本展では、同館が誇る近代の細密工芸のコレクションから、多彩な顔ぶれによる木彫作品を展示し、幅広い近代の木彫の世界を展覧する。