EXHIBITIONS

二大巨匠展 競演する織と染 ― 北村武資と森口邦彦

銀座もとじ和織・和染
2022.02.19 - 02.27

経錦地 友禅訪問着「雪景」
織 北村武資・染 森口邦彦

経錦地 友禅訪問着「雪景」部分
織 北村武資・染 森口邦彦

経錦地 友禅訪問着「雪景」部分
織 北村武資・染 森口邦彦

森口邦彦 プラチナボーイ 友禅訪問着「位相割付亀甲文」

森口邦彦 プラチナボーイ 友禅訪問着「位相割付亀甲文」部分

北村武資 左から、袋帯「斑錦 藤紋」、着尺「経錦 六耀梅文」 、着尺「経錦 星文」

北村武資 袋帯「斑錦 藤紋」

北村武資 着尺「経錦 六耀梅文」

北村武資 着尺「経錦 星文」

 銀座もとじは、「二大巨匠展 競演する織と染 ― 北村武資と森口邦彦」を開催する。20世紀が生んだ日本染織界における二大巨匠、「織」の北村武資と「染」の森口邦彦による初の2人展。

 創業42年を迎える銀座もとじは、銀座の三原通り沿いの女性のきもの専門店「和織・和染」および、徒歩圏内1分に、着物業界では初となる男性向けの専門店「男のきもの」を構える呉服屋。コロナ禍により着物の着用機会の減少していること、先行きの見えない状況につくり手の未来を憂い、「2人の人間国宝の合作という、かつてない試みを実現することで、業界内外に明るいニュースを届け、また日本文化に関心のある層に向けて『日本が世界に誇る最高峰の技術』を目にする機会を創出したい」と考え、本展の開催に至った。

 本展では、織と染の高みに到達した人間国宝同士による、一点のみ制作された「合作」を、2月19日~27日の期間限定で披露。また、北村武資の作品約100点、森口邦彦の作品約10点の新作も並ぶ。

 1935年京都市生まれの北村武資は、父親を早くに亡くし、家族を養うために15歳で京都・西陣で見習い工として働き始めた。同じく京都市出身で、1941年生まれの森口邦彦は、人間国宝・森口華弘の次男として生まれ、美術大学卒業後にパリ留学を経て友禅の道へ進んだ。異なる環境から染織の道へ入った2人は出会いから50年以上、心を通わせて互いに切磋琢磨してきた。しかし個々の手技は独立した技術であり、ひとつの作品内でコラボレーションすることは通常は困難だと言う。今回の世紀の合作は、着物が「布を織る」「染める」という2つのクリエイションを経てつくられるものであること、そして2人の信頼関係が強固であるという前提があって実現した。

 本展の見どころのひとつは、至近距離での作品鑑賞が可能なこと。京都国立近代美術館やヴィクトリア&アルバート博物館をはじめ国内外の多数の美術館に収蔵されている両者の作品の、一本一本の糸が織り成す生地の表情や、繊細な染めの至高の技術を間近にできる。

 昭和・平成・令和にかけて日本の染織界をリードしてきた北村武資と森口邦彦。歳を重ねてなお、現代を見つめる視点と尽きることのない創造力、挑戦する情熱を絶やさない姿は、幅広い世代の人々に元気を与えてくれる。

 なお会期終盤の2月26日・27日には森口邦彦による作品解説も実施予定。また、銀座もとじのInstagramでは、2月3日に行われたライブ配信のアーカイヴ動画を公開し、二大巨匠のこれまでの道のりや合作の誕生秘話について、店主・泉二弘明と二代目・泉二啓太が語る。このほか、公式ウェブサイトではファシリテーターに外舘和子(多摩美術大学教授)を招いた「北村武資×森口邦彦 座談会」の全文を掲載中だ。