EXHIBITIONS

Lily Night 出版記念展「ABSCURA」

リコーイメージングスクエア東京 ギャラリーA
2022.02.10 - 02.28

Lily Night 出版記念展「ABSCURA」キービジュアル

Lily Night self #1 2016

Lily Night ice#1 2019

Lily Night ice#2 2019

Lily Night story 2017

 Lily Nightの個展「ABSCURA」がリコーイメージングスクエア東京 ギャラリーAで開催される。写真集『ABSCURA』(赤々舎)の刊行を記念し、赤々舎代表であり、ギャラリーのアドバイザーも務める姫野希美の推薦による写真展の第4弾。

 Lily Nightは1988年中国黒龍江省ハルビン市生まれ。2012年に埼玉大学教養学部美学専攻を卒業後、13年にケント大学美術史専攻で修士号を取得。19年に東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科で修士号を取得した。これまでLILY SHUのアーティスト名で活動し、今後はLily Nightとして作品を発表する。

 Lily Nightは、個人的な記憶とコレクティブな記憶との関係性について問題意識を持ち、ドローイング、コラージュ、写真、映像、テキスト、インスタレーションによる作品を制作してきた。市場経済のなかに失われる個体の存在と痕跡を求め、商業主義的な思考やマスメディアに定義される社会性を超え、より広い循環と宇宙観を意識させる作品づくりに取り組んでいる。

 今回刊行される写真集『ABSCURA』はモノクロを基調に、故郷の光景、セルフポートレイト、一人暮らしのアパートに両親が滞在中に撮影した写真などを収め、淡彩を纏うイメージが見え隠れするシリーズ。具象と抽象が混じり合い、一個人の経験の深みに社会的な事柄による投影が窺え、切り結ばれ、折り畳まれる時間のなかで、過去として完結されない記憶がもたらす感覚、知性、温度、次元が開示されていく作品約25点で構成される。

  Lily Nightは本作について、次のコメントを出している。

「言語化される以前の意識を現象のまま切り取り、ドローイングやコラージュなどを付け加えて作品化する手法をとってきた。写真というメディアにおいて、グローバルに加速していく現代社会の精神分析を行う。一個人の無意識が社会の無意識と重なる時、溶け合う時、衝突する時、化学反応が起きる時、どんなイメージ、どんな物質が生まれるだろうか。社会に自分の身を投じて、確かめてみることが制作することだと考えている。暴く、開示する、跡を残す。カオスを論理的に検証しようとする。物質を哲学する。これからは更にジャンルを横断し、越境する作品を提示できたらと願っている」。