EXHIBITIONS

ザ・トライアングル

川人綾:斜めの領域

2022.02.08 - 05.15

川人綾 織(Ori)Scopic イムラアートギャラリー(京都)での展示風景 2021 Photo by Yoshida Akihito

川人綾 織(Ori)Scopic イムラアートギャラリー(京都)での展示風景 2021 Photo by Yoshida Akihito

川人綾 ロンシャン ラ メゾン銀座(東京)での展示風景 2019 Photo by LONGCHAMP / La Maison Ginza

川人綾 メタ・オープン・アーツ・コミッション フェイスブック(東京)での展示風景 2020 Photo by Kono Teppei

川人綾 織合い 2017 Photo by Nagai Fumihito © COMITÉ COLBERT, Tokyo University of the Arts

川人綾 C/U/O_mm-mmd_(w)_I 2018 東京藝術大学大学美術館蔵 Photo by Kono Teppei

 京都市京セラ美術館が新進作家の作品を展示する企画展シリーズ「ザ・トライアングル」2021年度の最後は、川人綾(かわと・あや)を迎えた「斜めの領域」展を開催する。

 川人は1988年奈良県生まれ、京都府育ち。2011年、京都精華大学芸術学部素材表現学科テキスタイルを卒業後、19年に東京藝術大学大学院美術研究科先端芸術表現博士後期課程を修了した。近年の個展に「織(Ori)Scopic」(イムラアートギャラリー、京都、2021)など。タブローだけでなく壁面全体を使用したインスタレーションにも取り組む。

 現在、京都を拠点に活動する川人は、「制御とズレ」をテーマに独自のグリッド表現を追求してきた。ここで言う「ズレ」とは、川人が大学で学んだ染織に由来するものであり、緻密な手作業の過程で否応なく生じる歪みを指す。これは、作家が同じく関心を寄せる神経科学、とく視覚と認知の「ズレ」により生じる錯視効果にも結びつくものだ。

 川人は、糸を紡いで一枚の布を織るように、塗り分けられた無数の色線を緻密に重ね合わせていく。歪みやズレを含むそのグリッドは、無機質で冷たい印象のある戦後アメリカのオプ・アート(強い錯視効果を引き起こす抽象的な絵画や彫刻)とは異なる、手業の温もりを感じさせる。

 本展では、手描きとデジタル・プリントによる、質感を異にしたグリッドを空間全体に展開。垂線と斜線でかたちづくられたグリッドが、三角形の形状からなる「ザ・トライアングル」のスペースに呼応しながら鑑賞者を包み込む。川人は、見る角度や距離によって移ろい、揺れ動く無数の織目のなかに、私たちの認知や制御の及ばない未知の領域を探る。