EXHIBITIONS

中沢研

2022.02.08 - 04.28

中沢研 線 2022

中沢研 線 2022

 アンドーギャラリーでは、中沢研の2年ぶりとなる個展を開催する。会期は2月8日~4月28日。

 中沢は1970年東京都生まれ。多摩美術大学大学院美術研究科絵画専攻を修了し、主な展覧会に「MOTアニュアル1999 ひそやかなラディカリズム」(東京都現代美術館)、「横浜トリエンナーレ2001」(パシフィコ横浜)などがある。針金やテグスといった視覚的ボリュームが希薄な素材を用い、展示空間に呼応したインスタレーションを制作する作家として国内外で高い評価を得ている。

 本展では「線」と題された新作インスタレーションを発表。直径3ミリメートルの鉄材を用いた高さ80センチメートルほどのオブジェが170体、ギャラリー空間全体にランダムに配置される。

 中沢特有のコの字型の鉄材は、上半分が白くペイントされており、上部が直角に屈曲している。また、足元に20センチメートルほどの鉄棒を2本溶接することによってオブジェを自立させている。コの字の上部を折り曲げたことにより床に対して平行な面ができ、オブジェに彫刻的なボリュームが生まれる。空間に立ち並ぶおびただしい数のオブジェは、何かの群れのようだが、基本の形状は同じでもひとつとして同じかたちはなく、それぞれが絶妙なバランスと距離感を保ちながら存在している。

 今作で、直径3ミリメートルの鉄材という最小限の素材を使い、線のみで空間の質を変容させた中沢。様々な線が複雑に重なり合う空間は、しんとした静寂に包まれ、その場は見る者に意味を強制し限定することなく、作品への解釈は私たちに委ねられている。