EXHIBITIONS

開館55周年記念特別展

上村松園・松篁

―美人画と花鳥画の世界―

2022.02.05 - 04.17

上村松園 春芳 1940(昭和15) 山種美術館蔵

上村松園 砧 1938(昭和13) 山種美術館蔵

上村松篁 白孔雀 1973(昭和48) 山種美術館蔵 © Atsushi Uemura 2021 / JAA2100291

 山種美術館が開館55周年を記念した特別展「上村松園・松篁 ―美人画と花鳥画の世界―」を開催する。

 1966(昭和41)年に日本初の日本画専門の美術館として開館した山種美術館は、昨年より開館55周年を迎えることを記念して特別展を開催してきた。その最後を飾る本展では、同館と縁が深い日本画家・上村松園(うえむら・しょうえん、1875〜1949)と、その長男で生誕120年を迎える上村松篁(うえむら・しょうこう、1902〜2001)の作品を紹介する。

 美人画の名手として知られる松園は、生涯にわたり気品ある女性像を描き続けた。京都で生まれ育ち、京都府画学校(*)に通い、鈴木松年(しょうねん)に学んだ後、幸野楳嶺(ばいれい)、竹内栖鳳(せいほう)に師事。早くから頭角を現し、江戸や明治の風俗、和漢の古典に取材した女性像を文展や帝展など数々の展覧会に出品、活躍した。1948年には女性として初めて文化勲章を受章。山種美術館の創立者で初代館長の山﨑種二(やまざき・たねじ)は、松園と親しく交流しながら作品を蒐集した。松園の代表作である《砧》《牡丹雪》を含む計18点を同館は所蔵しており、屈指の松園コレクションとして知られている。

 いっぽう松園の長男である松篁は、花鳥画を得意とした。同じく京都で生まれ育ち、京都市立絵画専門学校(*)に入学するとともに西山翠嶂(すいしょう)に師事。官展を中心に出品を重ねたのち、1948年には創造美術(現・創画会)を結成して活躍。1953年より京都市立美術大学(*)教授、1981年に日本芸術院会員となり、1984年には文化勲章を受章するなど、写実を基礎とする洗練された格調高い花鳥の姿を描き続け、京都画壇を牽引した。

 山種美術館が所蔵する松園と松篁の作品が一堂に会すのは本展が初めて。松園の代表作《砧》《牡丹雪》をはじめとする美人画18点、松篁の逸品《白孔雀》を含む花鳥画全9点、そして父と同じく花鳥画を描き、いまも画壇を牽引する上村淳之の作品も並び、上村家三代の作品を鑑賞できる貴重な機会となる。

 また本展では、松園と同時代に活躍した鏑木清方(きよかた)や伊東深水(しんすい)の美人画など、同時代に活躍した画家たちによる優品の数々をあわせて紹介する。

*──現・京都市立芸術大学