EXHIBITIONS

須永有 個展「影をつかむ」

2022.01.07 - 01.23

須永有 個展「影をつかむ」より

 myheirloomで、ペインター・須永有の個展「影をつかむ」が開催されている。会期は1月23日まで。

 須永は1989年⽣まれ。2014年東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻卒業、17年同大学美術研究科絵画専攻修士課程修了。主な受賞歴に、「群馬青年ビエンナーレ2019」入選、「TERRADA ART AWARD 2014」最優秀賞、「CAF ART AWARD 2014」審査員特別賞がある。

 須永はこれまで、絵画制作を通して事象の裏側や隠れた一面に光を当て、その奥に潜む本質的なものを表に引き摺り出す試みを続けている。美しいものよりも醜いもの、表ではなく裏、そして光ではなく影。世界を構成する様々な物質、現象について、表層からえぐり出され、激しくあふれ出るような力強い色彩により浮き彫りになるものは、普段私たちが何気なく見ている風景の片隅にある見落とされた視点だ。

 本展では、光によって生まれる影という存在をいかに主題として成立させるのかに着目し、これまで須永が試みてきた「裏側を抉り、表に引っ張り出す」行為を発展、純化させた新たなシリーズを発表する。黄色と黒の強烈なコントラスト、そしてダイナミックに主張する実体化した「影」は、力強くいきいきとその存在感を際立たせている。光を浴びる存在でありながら、必然的にすべての「裏側」となるアンタッチャブルな「影」が立ち上がるとき、私たちはそこに初めて「光」を見出すことになる。

 須永の「逆転の思想」やアゲインストな精神、無骨さ。そうした意識が物事の本質にふれることにより生まれる圧倒的な絵画のパワーを、会場全体で体感してほしい。なお会場内には、美術評論家・菅原伸也の寄稿も掲出している。