EXHIBITIONS

西村有未「図形的登場人物と雪娘 シーズン2」

2022.01.14 - 02.13

西村有未 もっと精神的なもの7 2022

 FINCH ARTSでは、西村有未の個展「図形的登場人物と雪娘 シーズン2」を開催する。

 西村は1989年東京都生まれ。2019年京都市立芸術大学大学院美術研究科博士(後期)課程美術専攻研究領域(油画)修了。多彩なマチエールと構築的な描画手法を用い、近年は「図形的登場人物」をモチーフに制作している。

 FINCH ARTSでの「図形的登場人物(雪娘)と望春の花」展(2020)においては、コロナ禍における春を想い日記的に記した「望春の花」シリーズと、ロシア民話の「雪娘」のラストシーンに端を発する作品群を発表している。本展では「シーズン2」とも言える、前回の個展に続く展開がなされる。

「図形的登場人物」とは、民間伝承文学の研究者マックス・リュティの言葉を引用したものである。西村によれば、「物語の展開を優先する為、個人的描写や感情表現を省略された人」を指しており、このようなモチーフを扱うことについて、下記のように述べている。

「一様に、こうした扱いを行う物語には、明快な情報の欠如と単純な描写がある。それ故にこの余白には、むしろこの説明や描写の足らなさから、余計にその『欠けているもの』への重みをこちらへと想像させるものがある。そして、この重みには新たな創造へと駆り立てさせる、引力があるのだ。私はその力を借り、絵具に代替することで、絵で物語る行為とマチエールの可能性を探っている」。