EXHIBITIONS

古川吉重

2022.01.08 - 02.02

古川吉重 石の段(Stone Step) 2004

 KOKI ARTSでは、没後4回目となる古川吉重(1921〜2008)の個展を開催している。会期は2月2日まで。

 古川は福岡県出身の画家。1943年に東京美術学校(現・東京芸術大学)を卒業し、終戦後、本格的に制作活動を開始した。49年に独立賞(独立美術協会)を受賞し、読売アンデパンダンなどで発表を続け、日本の画壇で活躍。その後、63年にニューヨークに渡り、同地や日本のギャラリー、美術館などで発表を続けた。

 2015年に没後初の回顧展が福岡県立美術館で開催された後も、福岡市美術館、久留米市美術館、佐賀県立美術館、京都国立近代美術館、国立国際美術館、埼玉県立近代美術館、相模原市民ギャラリーなど国内美術館などでたびたび紹介され、アメリカでの没後初個展は、2016年にbeta pictoris gallery(アラバマ州)で開催。その後はニューヨークやヨーロッパのギャラリーでも作品が展示されている。

 1963年の渡米後にその抽象絵画を大きく変化させた古川。キュビスムや抽象表現主義の影響を受けた作風からより抽象的で構造的な作品へと変わり、80年代から晩年に至るまでは、幾何学的な形を用いた抽象作品に精力的に取り組んだ。この頃から筆のタッチやパレットナイフを使用した質感、突き詰められた抽象の形態と地の部分の色彩変化とのコントラストにこだわりを持ちながら、形態と色彩によって空間を強く意識した画面を構成するスタイルを確立。2000年に帰国して相模原にアトリエを構えてからは、かたちと地の色彩の対比が和らぎ、独自の抽象表現をさらに追求していった。

 本展では、古川の生誕100年を記念し、ニューヨーク時代の終盤期と相模原に移住後のペインティングを中心に展示している。なお、みぞえ画廊(福岡)とContemporary HEIS(東京)でも、古川の個展が開催される予定だ。