EXHIBITIONS

αMプロジェクト2020-2021

αM+vol.2 わたしの穴 美術の穴

地底人とミラーレス・ミラー

2022.01.15 - 02.12

デザイン:岡﨑真理子

ニコライ・スミノフによるプロジェクト「死、不死、そして地下世界の力」より、イリナ・フィラトヴァ《永遠の地下美術館》(2014)

高山登 地下動物園習作 1968

高石晃 Little Bend 2019 撮影=Benjamin Hosking

 αM+(アルファエムプラス)は、ゲストキュレーターによる年約5本の展覧会と連動させながら、αMプロジェクトの独自企画として年1本の展示を開催するもの。2022年は、アーティストの石井友人と高石晃によるアート・プロジェクト「わたしの穴 美術の穴」を迎えた「αM+vol.2 わたしの穴 美術の穴|地底人とミラーレス・ミラー」を2つの会期で行う。

「わたしの穴 美術の穴」は、1970年前後の日本美術史をリサーチすることを主眼に石井友人、榎倉冴香、地主麻衣子、高石晃、桝田倫広により2014年に発足された。15年にメンバーによるグループ展「わたしの穴 美術の穴」を初開催。翌年には冊子『わたしの穴 美術の穴』を出版し、以後、石井友人と高石晃によるアート・プロジェクトとして、藤井博個展「わたしの穴 21世紀の瘡蓋」(2018)のキュレーション、『わたしの穴 21世紀の瘡蓋』の冊子出版および、榎倉康二と高山登、藤井博の3人展「不定領域」、石井友人個展「享楽平面」、高石晃個展「下降庭園」(いずれも2019)のキュレーションを行った。

 今回のテーマ「地底人」と「ミラーレス・ミラー」は、穴というモチーフをめぐる同プロジェクトでの7年間の活動を通じて浮上してきたこと。「日常空間に遍在する穴。穴を実在するものとして認識することは出来ません。そこには何もない。しかし、不可思議にもそこに穴は存在していると感じます(石井友人・高石晃)」。このアンビバレントな経験を通して、私たちの知覚や記憶、情動や想像力は駆動され、そのことの内に人間という認識の枠組みを持った存在、そして美術という制度における人間的営為の根源性があるのではないかと解釈し、石井友人・高石晃の両者が本展を企画。テーマ別に会期を分けて開催し、私たちを取り巻く環境の変容と、その環境と私たちの新たな関係の仕方を、潜在・現象の2つのあり方として表出させることを試みる。

 パート1「地底人」(1月15日〜2月12日)は高石晃のキュレーションのもと、高石とともに、高山登、ニコライ・スミノフが参加。この世ならざる地下世界への想像力に根ざした独自な物語性を表現してきた高山登、辺境に追いやられてきたアニミスティックな表現や、近代史からこぼれ落ちた不可解な歴史的事実などのなかに現れる地下世界の表象を調査・研究するロシア出身のニコライ・スミノフの作品が見られる。地下世界へ向けられる想像力が私たちの生を下支えしている不可欠な基礎だと位置付け、私たちの足元の大地に穴を穿ち、地表の下に隠された世界を探索する。

 なおパート2「ミラーレス・ミラー」(2月19日〜3月19日)は、石井友人がキュレーションし、雨宮庸介、石井友人、大川達也、敷地理、多田圭佑、谷口暁彦、津田道子、藤井博、三宅砂織が参加する。