EXHIBITIONS

galleria PONTE 移転 リニューアルオープン展

「STRAIT - 海をわたる -」山本基

2022.01.16 - 01.30

山本基 たゆたう庭 Floating Garden 2013

山本基 たゆたう庭 Floating Garden 2013

山本基 たゆたう庭 Floating Garden 2013

 金沢にあるギャラリー、galleria PONTE(ガレリアポンテ)は移転リニューアルオープン展として、美術家・山本基を迎えた展覧会「STRAIT - 海をわたる - 」を開催する。

 山本は1966年広島県尾道市生まれ、95年に金沢美術工芸大学を卒業し、現在は金沢市在住。若くしてこの世を去った妻や妹との思い出を忘れないために、浄化や清めを喚起させる「塩」を用いたインスタレーションを制作してきた。山本は、個展開催や展覧会への出展のたび、床に巨大な模様を、長い時間をかけてひとりで描き上げる。そして展覧会最終日には、作品を鑑賞者とともに壊し、その塩を海に還すプロジェクトを続けている。

 今回の会場となるgalleria PONTEは2008年に開廊して以来、現代を俯瞰させてくれる同時代の作家、作品の企画展を開催してきた。ギャラリー名の「Ponte」とは「橋」のこと。「美術」もまた離れた土地を結びつけ、物質や精神への架け橋となるものではないかと考え、そして、ここで出会う作品たちがどんな場所へ通じる「橋(ponte)」なのかを知るために、橋を渡り両岸をつなぐ架け橋であることを目指している。

 山本は、ギャラリーの名前の由来ともなっている「橋」から触発され、本展において橋から見下ろした渦、潮の流れをイメージして描く。床全面に展開されるインスタレーションと壁平面作品で構成し、「橋」から俯瞰することで見える時代、橋を行き来することで呼び覚まされる感情や記憶を表現する。

 展覧会タイトルに用いている「STRAIT(海峡)」は、困難や難局という意味を持ち合わせた単語。しかし、海峡は視点を変えれば大切なものを運ぶ海の路ととらえることもできるだろうとし、本展を「ダイナミックな渦潮だけでなく、潮目や橋脚の角、そして行き交う船の船尾から次々と生み出される小さな渦。生まれては消えるこれらの営みを塩で描くことによって、渦を俯瞰する、そこにあるはずの橋に思いを馳せることができる空間にしたい」と作家は述べている。

 会期中の1月12日〜15日には作品が徐々に描き出される過程を公開。また「海に還るプロジェクト」に参加してくれた人たちの協力を得て、過去の展覧会で一度使った塩も再利用し、完成させた作品を披露する。