EXHIBITIONS

日中国交正常化50周年記念

兵馬俑と古代中国~秦漢文明の遺産~

戦服将軍俑 秦時代 秦始皇帝陵博物院 一級文物

兵馬俑抗

 2022年、日中国交正常化50周年を記念した展覧会「兵馬俑と古代中国~秦漢文明の遺産~」が開催される。死後の皇帝を守り続けてきた圧巻の「兵馬俑(へいばよう)」が来日する本展は、古代中国の歴史に焦点を当てる。

 1974年、農民が偶然見つけた秦始皇帝陵の兵馬俑。2000年以上前の中国でつくられた実物大の兵士や馬の陶器が大量に出土し、世界を驚かせた。兵馬俑の俑(よう)とは、生きた人間の姿を木や土に写し取ったものを言い、古代中国の人々は死後の世界で被葬者を守るために埋葬した遺体に添えた。秦始皇帝陵には、墓に眠る皇帝ひとりを守るため、推計約8000体もの兵馬俑が地下に並べられ、当時の絶大な国力を現代に伝える。

 本展では、秦漢両帝国の中心地域である関中(かんちゅう、現・陝西[せんせい])省の出土品を中心に、日本初出の一級文物(ぶんぶつ、最高級の貴重文物を指す中国独自の区分)を含めた約200点をダイナミックに展示。戦国時代の極小の騎馬俑が、始皇帝陵では等身大の兵馬俑となり、また漢代皇帝陵では小さな兵馬俑に変化した歴史の不思議を、実際の遺物で観察することができる。

 なかでも見どころとなるのが、高さ196センチもの大きさの将軍俑。11体しか発見されていない将軍俑から1体が初来日し、生前、始皇帝に仕えた人物の生き生きした姿を見ることができる。この将軍俑に加え、武士俑や騎兵俑など計36体、またレプリカの銅車馬や兵馬俑の隊列展示、青銅器や金印といった多彩な遺物から古代中国文明を紹介する。

 また本展では始皇帝陵や漢の皇帝陵と、エジプトのピラミッドとの類似性に注目。衛星画像などを使って西方文化と比較することで、世界史のなかから秦漢文明の遺産を観察した新たな視点を提示する。

 なお本展は、中国古代史を専門とし、映画『キングダム』の中国史監修も務めた鶴間和幸(学習院大学名誉教授)を監修に迎え、およそ1年間かけて京都から静岡、名古屋、東京の国内4会場を巡回予定だ。