EXHIBITIONS

DOMANI・明日2021-22 文化庁新進芸術家海外研修制度の作家たち

「どこかで?ゲンビ」and DOMANI @ 広島「村上友重+黒田大スケ in 広島城二の丸」

広島市現代美術館 館外展開プロジェクト「どこかで?ゲンビ」関連プログラム

広島城二の丸
2022.01.08 - 03.10

黒田大スケ 三つのカゲ、彼の罪 2021 参考作品

村上友重 Treatise on Light_NL7265 2019(撮影)  ©Tomoe Murakami 参考作品

広島城二の丸外観

 文化庁による新進芸術家海外研修制度の成果を発表してきた「DOMANI・明日展」。1998年からスタートし、第11回から第23回までは国立新美術館(東京)で年に1度のアニュアル展として催されてきた。途中からは「DOMANI・明日展 plus」などで地方会場やオンラインでの開催も加わり、次第に活動の幅を広めている。

 第24回を迎える今年度の「DOMANI・明日展」は、新型コロナウイルスの影響を受け、例年の国立新美術館での大規模展開催が難しく、今回は、従来から実現の機会を探ってきた地域展開に挑む。これまでの地方会場の「DOMANI・明日展 plus」シリーズを踏襲した中・小規模の企画展「DOMANI plus」、そして文化施設の自主企画に連動する特別プログラム「and DOMANI」を2021〜2022年にかけて5会場で展開していく。

 参加アーティストは、宮永愛子(京都府立図書館)、蓮沼昌宏(水戸芸術館)、村上友重+黒田大スケ(広島城二の丸)、大塚泰子、冨井大裕(愛知県美術館ギャラリー)、長島有里枝、古橋まどか(港まちポットラックビル3F、旧・名古屋税関港寮)、志賀理江子(旧観慶丸商店・宮城県石巻市)※()内は関連展示・企画展会場。

 2022年1月8日~2月13日には、「村上友重+黒田大スケ in 広島城二の丸」が開催。本展示は、広島市現代美術館の館外展開プロジェクト「どこかで?ゲンビ」の関連プログラムの一環として行われる。

 村上友重は1980年千葉県生まれ。早稲田大学第一文学部総合人文学科文芸専修卒業。東京藝術大学での勤務を経て、ノーザンブリア大学(イギリス)に在学。現在は広島県を拠点に活動している。季節や時間帯によって移ろう光、温度や湿度で変わる空気など、見ているはずなのに見えない、不確かなものを風景のなかでとらえ、写真作品として発表。近年はとくに光への関心を深め、観察や分析といった行為も含めた作品の制作を試みている。

 黒田大スケは1982年京都府生まれ。広島市立大学大学院博士後期課程修了。彫刻家・橋本平八の研究で博士号を取得。作品制作のほか、展覧会の企画運営も手がけており、アーティスト・コレクティブ「チームやめよう」主宰。現在、関西を拠点に活動し、彫刻に関するリサーチをもとに、近代以降の彫刻家やその制作行為をモチーフとしたパフォーマンス的要素の強い映像を制作、シリーズとして展開している。

「村上友重+黒田大スケ in 広島城二の丸」では、写真と彫刻というジャンルの異なる2人による、広島市内を中心としたリサーチや人々との交流を通した制作を紹介。幅広い写真技術を活用する村上は、レクチャーやワークショップ、参加者との協働を交えた「広島の光の採集」とも言うべき活動を構想し、いっぽう、野外彫刻に関する映像作品を近年手がける黒田は、広島の平和記念公園周辺などに設置される彫刻を題材とした作品に取り組む。

 なお「DOMANI・明日展」のウェブサイトでは1998〜2021年開催のアーカイヴも公開中。「DOMANI plus」そして新たな枠組みとなる「and DOMANI」の詳細・最新情報とあわせてチェックしてほしい。

※本展は、新型コロナウイルス感染拡大の状況を受けた広島市の方針により休場。再開後は展示内容を改編し、3月10日まで会期を延長(当初の会期は2022年1月8日~2月13日)。最新情報は公式ウェブサイトへ。