鉄腕アトム

　豊島区立トキワ荘マンガミュージアムが特別企画展「鉄腕アトム ―国産初の30分テレビアニメシリーズ―」を開催している。

『鉄腕アトム』の放送が開始されたのは、1963年1月1日のこと。本作品は、未来世界を舞台に、7つの力をもつロボット少年・アトムが活躍する物語であり、日本のアニメーションの歴史を一変させた金字塔のひとつとして知られている。

　手塚治虫（1928〜89）は、当時一般的だったアニメの制作方法を見直し、徹底的な省力化を図った新たなシステムを考案。1960年代初頭の国内アニメーションは、劇場公開用か数分の短編しかつくられていなかったが、それらに使用されていた「フル・アニメーション」の制作方法ではなく「リミテッド・アニメーション」に自身の考えを加えた新たなスタイルを生み出した。そして、すでに子供たちの人気を得ていたマンガ『鉄腕アトム』を原作とすることで、それまで不可能と思われていた国産初の30分テレビアニメシリーズの制作を成功させた。アニメ『鉄腕アトム』は1963〜66年までに193本が制作され、最高40.3パーセント、平均25パーセントの高視聴率で人気番組となった。

　本展では、アニメ『鉄腕アトム』放送当時の貴重な資料を展示するとともに、制作の様子やスタッフの思い、制作方法もあわせて紹介。セル画が制作されなくなった現在ではあまり見ることのできない、当時と同じ手法でつくられた「複製セル画」により、一部のストーリーを見ることもできる。

　また本展は、1963年放送の『鉄腕アトム』第一話を館内にて上映。さらに企画展示室入口および2階はフォトスポットとしてアトムとの撮影を楽しむことができる。

　なお今回の企画展にあわせて、企画展示室前のマンガラウンジでは特別にマンガ連載当時のふろくなど、貴重な作品の数々も展示。このほか、オリジナルグッズや記念メダルも販売している。