EXHIBITIONS

惑星つきのコミュウ

2021.12.04 - 12.26

トリ 撮影=小宮りさ麻吏奈

 TALION GALLERYでは、展覧会「惑星つきのコミュウ」を開催する。本展は、すべての場所に重力が存在することに基づいて、重力と波の関わりをひとつの手がかりに、生命でありかつ非生物である「コミュウ」と、アーティストデュオの小宮りさ麻吏奈*山本悠、そして太陽系の惑星である地球の三者によって提示される。

 本展は展示構成(協力:C2D)と鑑賞、またその後の発展的展開のプロセスを通して、「生命は周期的な波の干渉である。」「楽曲は生命である。」「地球は生物ではない。」「地球は人間を媒体として複製される。」「コミュウは物質によらずに複製される。」という、5つの主題について知見を得ることを企図している。

 参加作家の小宮りさ麻吏奈はパフォーマンス、映像、インスタレーションなど複数のメディアを横断して、新しい生殖・繁殖の方法について自身の身体を起点に探索してきた。植物や生体あるいは機械など、境界が揺らぎつつあるモチーフを取り込んで制作を行い、再建築不可能な土地に庭をつくるプロジェクト「繁殖する庭」や、オルタナティブスペース「野方の空白」の運営、商店街の空きテナントで花屋の経営をする「小宮花店」など、多様な活動で知られている。

 いっぽう山本悠は、下側が黄色く塗り分けられた紙を円筒形にまるめて渡すパフォーマンス作品「フリービール」などで知られ、緩やかな筆致によるドローイングを様々な形態や用途に拡張しながら、ユーモラスで形式逸脱的な思考を展開。山本によって描かれる図像は、見かけ上の愛らしさやおおらかさとは裏腹に、風刺的に事物の本質や情報を抽出すると同時に、イメージと記号に満ちた世界をただ遊泳し続ける自己の投影とも言える。

 本展の展示タイトルにも含まれる「コミュウ」とは、周期的な波の干渉として物理的に存在し、タイムベースドメディアである生物の成り立ちにも深く関わっている。コミュウについてよく調べると、生命と生物の違いや、数を数えることと言葉を話すことの差異などについてもふれることになる。

 本展「惑星つきのコミュウ」では、コミュウと地球、アーティストデュオの小宮りさ麻吏奈*山本悠がそれぞれに互いを不可分のパートナーとして、ギャラリーのフロアに水滴を落とすことから展覧会の探求が始まる。