EXHIBITIONS

鳥彦 -VICES-

2021.12.03 - 12.19

「鳥彦 -VICES-」より

「鳥彦 -VICES-」より

制作の様子

 GALLERY TOMOでは、版画作家・鳥彦(TORIHIKO)による「VICES」展を開催する。

 鳥彦は、2013年より京都を中心に活動。マニエール・ノワール(黒の技法)とも呼ばれるメゾチント技法による銅版画を制作している。自身のウェブショップにも同じ名前を使用。線や面や明暗表現に向いたメゾチントの技法でつくり出される鳥彦の銅版画には、深い黒からにじみ出るような鳥人たちが表れる。

 本展のテーマは「VICE(悪徳)」。GALLERY TOMO代表の青山知相は、「発祥した地域でほとんど使われなくなった技法を、日本人がガラパゴス的に進化させてきた独自性と合わせて、近年表現の幅を拡げているドローイングや鳥土偶という陶土で表現したアイテムなどこちらも注目したい。この世界の傍にある冷めた『黒』の世界観を、この機会にぜひご高覧ください」とコメントしている。

 なお会期中には、オンライン特設ページでも出展作を販売する。

「VICEとは日本語で悪徳であり、この言葉には価値判断が多分に含まれている。美徳も悪徳も本来存在しない。人間にとって実現が難しく好ましい性質を美徳と呼び、人間にとって常態化していて好ましくない性質を悪徳と呼ぶ。

つまり普通に暮らしていれば美徳は出現せず、人間は悪徳に染まりきるものなのだ。自然な状態を否定して、不断の努力によって異常な状態を維持しなければ、人間はただの獣である。そしてそんなことができる獣は少ない。貴重であるから美徳は良しとされ、「人間」は良しとされるのだ。これは何も暗い気持ちになる話ではない。悪徳とは要するに人間の常態を表しているだけだ。怠惰で傲慢で我慢がきかない、極め付けは他人を攻撃していい気になるのが人間であり、それの何が悪いのか? もちろん、悪いに決まっている。」(鳥彦、ステイトメント)。