EXHIBITIONS

遠藤学「Spirits Planter Ⅳ」

2021.11.12 - 11.28

遠藤学 オオヤマネコ 2021

 s+artsは、遠藤学の個展「Spirits Planter IV」を開催。魂を吹き込むかのように制作される遠藤学の力強い新作群を紹介している。

 遠藤は1981千葉県生まれ。絵巻や物語絵を想起させるような背景に、動物や樹々が凛とした表情をもつ細密画をボールペンで描いている。数年前に独学で本格的に絵画を始めて以来、その巧みな技術と繊細な感覚から生まれる力強くも美しい作風で近年人気を高め、今後の活躍も期待されている。

「人も動物も植物も物も全ては原子の集合体。山も離れて見れば苔(こけ)の様であり、その苔も近くで見れば山の様で全てはある意味において森だと思っています。動物を通して森や自然の持つ寛容性、循環性、非常性、そして美しさを表現できたらと思っています」。このように語る遠藤の作品は、確かに森に広がる苔のように、一つひとつの要素が境目なくつながり、気づかぬうちに異なるモチーフに変化していることが多く見受けられる。

 例えば、動物として見ていたものが、あたかもそれが動物たちにとっては普通のことであるかのように自然に雲や植物と一体化している。優しくも厳しく、相反する様々な表情を持ち合わせる自然界のエネルギーを、遠藤は様々な動物の姿を軸に繊細なタッチで美しく表現している。

 本展では、3年前の初個展から続く第4弾として、作品制作の根底を模索するかたちで新作群を発表。箔を使った作品や、支持体となるパネルの地をあえてそのまま残すことで奥行きを出す方法、モチーフと背景の新たな組み合わせなど、より一層自身の表現技術を発展させて挑む展示となる。