遠藤学「Spirits Planter Ⅲ」

　千葉県出身のアーティスト、遠藤学の個展「Spirits Planter III」がs+artsで開催される。

　遠藤は1981年生まれ。数年前に独学で本格的に絵画を始めて以来、巧みな技術と繊細な感覚から生まれる力強くも美しい作風で制作を続けている。その作品は絵巻や物語絵を想起させるような背景に、ボールペンの細密画で描いた動物や樹々が凛とした表情で表現している。

「山も離れて見れば苔（こけ）のようであり、その苔も近くで見れば山の様ですべてはある意味において森だと思っています」と語る遠藤。また、森や自然がもつ循環性や寛容性、脅威、美しさを表現したいと追求し、森に広がる苔のように、作中では一つひとつの要素が境目なくつながり、雲や植物といった異なるモチーフが変化して一体化する。

　本展は2018年の初個展に続く第3弾として、遠藤の作品制作の根底にふれながら、新作群を紹介。昨年から始めた試みである箔を使った作品や、支持体となるパネルの地をあえてそのまま残すことで奥行きを出す方法など、より一層自身の表現技術を発展させた力作が展示される。