EXHIBITIONS

東影智裕「見えない時間 / Niewidzialny czas」

2021.11.27 - 12.25

参考図版 © 2021 Tomohiro Higashikage

 現代美術家の東影智裕が、ギャラリーノマルでは3年ぶりとなる個展「見えない時間 / Niewidzialny czas」を開催する。

 東影は1978年兵庫県生まれ。ウサギやウシといった動物の頭部のようなものをモチーフにした彫刻作品で知られる。2016年に「第27回五島記念文化賞」美術新人賞を受賞し、17〜18年まで五島記念文化財団の助成により海外研修としてポーランドに滞在。今夏の兵庫県立美術館での個展「東影智裕展 触知の森」(小企画「美術の中のかたちー手で見る造形」)や、東京でのポーランド研修帰国記念展と続けて注目度の高い展覧会が続いた。

「生と死」を根幹のテーマとして、動物の緻密な毛並みに覆われた精巧な作品群を手がけてきた東影。一見すると写実的だが、自身の記憶をたぐり寄せて形成される姿かたちは、どこか不思議な違和感と余韻を残す。相反する要素の境界を曖昧なものにしながらも毅然たる存在感を放ち、リアリティとイマジネーションを共存させたまま静かに空間に佇む作品は、生と死の共存でもある。近年では、生命の気配を残しながらも繁殖する毛並みそのものに注目した、より抽象的なアプローチも試みている。

 ポーランドでの1年間の滞在を終え、古都クラクフでの暮らしで東影がもっとも印象に残ったのは、歴史ある街並みにあふれる光と影の美しさだと言う。本展は、今年9〜10月に研修帰国を記念して旧平櫛田中邸アトリエで開催された個展を再構成し、ギャラリーノマルの空間ならではの鑑賞体験をつくる。