EXHIBITIONS

記憶は地に沁み、風を越え 日本の新進作家 vol.18

2021.11.06 - 2022.01.23

山元彩香 Untitled #286, Mzimba, Malawi(「We are Made of Grass, Soil, Trees, and Flo wers」より) 2019
© Yamamoto Ayaka Courtesy of Taka Ishii Gallery Photography / Film

 東京都写真美術館の展覧会シリーズ「日本の新進作家」は、写真・映像の可能性に挑戦する創造的精神を支援し、将来性のある作家を発掘してきた。

 18回目となる本展では「記憶は地に沁み、風を越え」をテーマに、私たちの身体と土地、風景、 そしてその記憶との関わり合いについて、多様なアプローチで追求する作家5組6名の写真・映像表現を紹介する。出品作家は、吉田志穂、潘逸舟、小森はるか+瀬尾夏美、池田宏、山元彩香。

 吉田志穂は、デジタルとアナログのハイブリッドによって、風景・イメージの多層的なレイヤーをつく出す写真家。潘逸舟は、自身のパフォーマンスによる映像を通して、風景と個人の関係を探り、小森はるか+瀬尾夏美の2人は、自然災害とそこに暮らす人々、そしてその伝承・語りを作品化している。池田宏は、10年以上にわたりアイヌの人々を撮影し、民族という類型化に疑問を投げかけ、そして山元彩香は、馴染みのない地域で、言語を越えて、身体と無意識の関係性を追求する。

 変容し続ける社会にあって、私たちはいかに土地・風景と対話し、他者と関わることができるのか、5組の作家たちによる表現は私たちの生きる現在を考える上で、ひとつの手がかりを与えてくれるかもしれない。