ブライアン・アルフレッド「NEW WORLD」

　 MAHO KUBOTA GALLERYでは、ニューヨークを拠点に作品を制作するアーティスト、ブライアン・アルフレッドの個展「NEW WORLD」を開催する。

　アルフレッドは1974年ピッツバーグ生まれ。紛争や社会の混乱の問題から、自然の風景の美しさまで、そして相反するその2つのあいだにあるものと、私たちを取り巻く世界の現状を強く反映した作品を制作。ペインティング、コラージュ、アニメーション映像といった複数のメディアを用いた表現は、エドワード・ホッパーやチャールズ・シーラーのようなアメリカの伝統的なペインターの影響を受けるいっぽう、日本の浮世絵やポップカルチャーとの親和性も感じられる。

　本展のタイトルは「NEW WORLD」。いずれもパンデミック下で制作された、28点のペインティングとコラージュ作品、1点のアニメーション映像作品を発表する。

　小さいサイズの作品は世界がコロナ渦に席巻されはじめたごく初期の段階、隔離状態にあったアーティストの自宅で、大きなキャンバスペインティングは私たちが新しいルールのもとでの生活に徐々に適応してゆく過程において、アーティストが制作の場を自宅からスタジオへと回復し描いた。

　これまでも世界が抱える問題や危機、社会の現実を現代的で詩的な表現手法を用いて描いてきたアルフレッドだが、今回のペインティングを過去の作品群と比較すると、創作の過程でたどったであろうアーティスト自身の揺れ動く感情が、よりパーソナルかつ現実的な質感をもって伝わってくる。

「この時期、そして今回の展覧会のために制作したイメージは、すっかり変容してしまった私たちの現実の経験を色濃く反映している。それは、私が今『New World』として捉える状況の中でアートを制作する最初のステップとなった。」と言及しているアルフレッド。本展にて展示される作品はすべて、アーティスト本人がパンデミック下の世界から踏み出すための最初の一歩を指し示すものとして制作し、不確かな明日の先に希求するより良き未来への道筋を表すものとなる。