EXHIBITIONS

手のひらほどの小さな絵―パリ1930年代の浜口陽三―

浜口陽三 黒いさくらんぼ 1956

浜口陽三 水差しとぶどうとレモン 1957

浜口陽三 パトリックのさくらんぼ 1980

 ミュゼ浜口陽三・ヤマサコレクションは、「手のひらほどの小さな絵―パリ1930年代の浜口陽三―」を開催中。20世紀を代表する銅版画家のひとり、浜口陽三の若きパリの時代を紹介する展覧会。

 1930年、浜口は東京美術学校の彫塑科を2年で中退し、フランスへ向かった。一時はパリのサロンに油彩画を出品するも、次第に大画面の油絵を描くことに興味を失い、小品や水彩画を制作したと言う。

 戦争の勃発によりやむなく帰国するまでの9年間の作品はほとんど失われてしまったが、戦後、浜口が40歳を過ぎて完成させた神秘的な銅版画には、かつて国際芸術都市で育んだ理想がつまっている。

 本展では銅版画約30点とともに、パリ時代の小さなグアッシュ3点を特別展示。作家のインタビューや資料も交え、浜口の当時の創作について探る(銅版画の一部は会期中に展示替えあり)。