EXHIBITIONS

JUN INAGAWA 個展「MAD MAGICAL ORCHESTRA」

2021.09.25 - 10.16

JUN INAGAWA ANARCHY IN AKIBA 2021 Photo by Atsushi Inamura

JUN INAGAWA Born Slippy 2021 Photo by Atsushi Inamura

 RICOH ART GALLERYではJUN INAGAWAの個展「MAD MAGICAL ORCHESTRA」を開催。INAGAWAの生み出したキャラクターやモチーフなど作家が志向する世界を、リコー発のアートプロジェクト「StareReap」で表現したユニーク作品・エディション作品を含む20点以上もの新作を発表する。

 JUN INAGAWAは1999年生まれ。幼い頃からアニメやマンガを好み、絵を描き始める。中学・高校をアメリカのカルフォルニア州で過ごし、そこで出会ったストリートカルチャーに大きく影響を受けると、2017年からロサンゼルスを拠点にアーティスト活動を開始。作品はSNSを通じて徐々に注目され始め、エイサップ・バリ(A$AP Bari)からまかされたVLONEのポップアップの壁画の仕事が大きな転機となった。

 帰国後、さらに日本のパンクやテクノカルチャーを落とし込んだ作品を描き、様々なアンダーグラウンドシーンで活躍。この他、オカモトレイジ率いる奇才集団「YAGI」のDJとしても知られる。現在、原案を務めるテレビアニメ「魔法少女マジカルデストロイヤーズ」の制作が進行中だ。

 日本で美少女アニメや少年マンガの洗礼を受け、アメリカで音楽やスケートカルチャー、テクノなどサブカルチャーを中心にストリートの文化を身近に感じ、それらを同時に自分の世界観として描くことに何の躊躇もなかったと言うINAGAWAは、好きなものを語る時にオタクもストリートも同じ熱量があるのだと話す。

 図像を一部切り取って組み合わせる、再編集するなどの表現といえば、かつて音楽シーンの影響を受け、アートの表現としてひとつの潮流をつくった「サンプリング」「カットアップ」「リミックス」などが思い起こされる。しかしINAGAWAのそれは、取り入れたものを咀嚼し、新しい表現として良いものだけを残していくことを繰り返すなかで、新しい図像として成り立たせている。それは従来のサンプリング手法と異なり、INAGAWAがかたちと色の在り方にクールに、そして大胆にアプローチした結果と言えるだろう。