The Absurd and The Sublime ギイ ブルダン展

　フランスを代表するファッションフォトグラファー、ギイ・ブルダン（1928〜1991）の個展「The Absurd and The Sublime」がシャネル・ネクサス・ホールで開催されている。10月24日まで。

　ギイ・ブルダンはパリ出身。画家として活動をスタートし、マン・レイなどシュルレアリストの影響を受けて、1940年代後半から実験的に写真制作を行った。独自のストーリーテリングのスタイルが注目を集め、1955年2月号には、フランスの『ヴォーグ』誌に初めてファッション写真が掲載。滑稽と崇高（The Absurd and The Sublime）、その紙一重の合間を弄ぶような意外性をつねに内包し、緻密に構成された作品でファッション写真を優れた芸術へと押し上げた。

　生涯を通してシュルレアリスムに大きく影響されたと同時に、アルフレッド・ヒッチコックの映画に魅せられたギイ・ブルダン。謎めいた筋書きを想起させ、あるいは意識下の緊張を創り出すなど、場面を細心の注意を払って構築した作品は見る者の好奇心を引きつける。

　本展では、ギイ・ブルダンのアイコニックな作品に加え、貴重なアーカイヴからこれまで展示されたことのないオリジナルプリントも展示。初期の実験と独特のスタイルの進化、その創造プロセスを例示し、不可解なイメージやシュルレアリスム映画に対する作家の好奇心に光を当てる。