EXHIBITIONS

崔在銀

Paper Poem

2017.10.20 - 12.02

崔在銀 Paper Poem No.11 2012 Courtesy of MISA SHIN GALLERY

崔在銀 Paper Poem No.11 2012 Courtesy of MISA SHIN GALLERY

 1953年にソウルで生まれ、72年の来日を機に生け花に魅せられた崔在銀(チェ・ジェウン)は、草月流の三代目家元・勅使河原宏(てしがはら・ひろし)に師事。器に花を生けるという生け花の表層を超えて、その空間概念や宇宙観を学んだ。

 本展は、80年代から生命や時間をテーマに制作をしてきた崔が、2010年から6年間、ドイツを拠点に制作した連作「Paper Poem」を紹介。当時住んでいたベルリンのアパートのゴミ捨て場に古本が捨てられる様子を目にした崔は、それらを自分のアトリエに運び、そこから何も印刷されていない見返り紙や遊び紙のページを切り取りコラージュをつくった。日常の光によって焼けた古書の縁は、それがたんに空っぽの空間ではなく、具体的な事物であり、私たちと同じ時間のなかに共存してきた存在であるという事実を気づかせる。

 また「Paper Poem」 以外に樹の彫刻が設置され、その周囲の床には詩が書かれた古い紙が丸めて置かれる。それらは鑑賞者によって拾い読まれ、読み終えると床に戻され、また次の鑑賞者に読まれる仕組みとなっている。紙は柔らかな感触を持った物質へとしだいに変化していき、展覧会の会期が終わる頃には別の詩へと循環していく。