EXHIBITIONS

宮崎学 イマドキの野生動物

2021.08.24 - 10.31

宮崎学 ツキノワグマのカメラマン、長野県、中央アルプス(「イマドキの野生動物」より) 2006 作家蔵

宮崎学 テン(「イマドキの野生動物」より) 2017 作家蔵

宮崎学 ニホンザル(「君に見せたい空がある」より) 2020-21(サルの家族がレンズを怪訝そうに見つめていた) 作家蔵

宮崎学 「ニホンカモシカ」より 1970-1973(中央アルプスの稜線から下界を見下ろすニホンカモシカ) 作家蔵

宮崎学 巣立ちが近いヒナ(「フクロウ」より) 1982-1988(愛らしい表情のなかにも野生のもつ猛々しさがある) 東京都写真美術館蔵

宮崎学 冬の死・二ホンジカ1993(「死」より) 1994(1月27日6時36分) 東京都写真美術館蔵

 中央アルプスのふもと、伊那谷の自然豊かな環境を活かして野生動物を撮り続ける写真家・宮崎学。その個展「イマドキの野生動物」が東京都写真美術館で開催される。

 宮崎は1949年長野県上伊那郡南向村(現・中川村)生まれ。自然と人間をテーマに、社会的視点に立った「自然界の報道写真家」として活動。動物たちの通り道に自作の赤外線センサー付きのロボットカメラを設置し、撮影困難な野生の姿を撮影した「けもの道」シリーズなど、哺乳類、猛禽類の撮影において独自の分野を開拓してきた。また、人間の生活空間近くに出没する野生動物や、外来動物の影響など、動物の生態を通して人間社会を浮き上がらせる社会性のあるテーマにも取り組んでいる。

 現在も日本中の自然を観察し続け、日本各地で問題となっている獣害被害のアドバイザーとしても活躍。78年の『ふくろう』で第1回絵本にっぽん大賞、82年の『鷲と鷹』で日本写真協会新人賞と次々に受賞し、写真集や著書を多数発表している。

 本展は、半世紀近くにわたる宮崎の作家活動の軌跡をたどりながら、自然の姿を浮き彫りにすることを試みるもの。自然界の仕組みや野生動物の世界を写真と映像でわかりやすく紹介するとともに、「けもの道」「フクロウ」「死」「アニマル黙示録」など自然と人間をテーマとして、独自の自然観に基づいた写真表現によって日本写真史に一時代を築いてきた宮崎の全容を明らかにする。

 シリーズ最新作となる「新・アニマルアイズ」のコンセプトは「動物たちの住む森を動物の目線で見る」。動物たちの痕跡を注意深く読み解き、自作のロボットカメラで人間の目が及ばない世界を巧みに写し出している。