EXHIBITIONS

太田の美術vol.4

森竹巳-造形実験の軌跡-

2021.07.31 - 10.24

森竹巳 Allusion’19-N1 2019 作家蔵

森竹巳 Relief Construction Ⅱ 1977 作家蔵

森竹巳 Allusion’89-N2 1989 作家蔵

森竹巳 放 1998 太田市新田文化会館・総合体育館所蔵

森竹巳 Allusion’03-M1 2003 作家蔵

森竹巳 Relief Construction’13-Y1 2013 作家蔵

森竹巳 いろいろ鉛筆2 2016 作家蔵

森竹巳 ストラート’20 2020 作家蔵

 太田市における重要な文化芸術を紹介する展覧会シリーズ「太田の美術」の第4弾では、太田市出身の造形作家・森竹巳(もり・たけみ)に焦点を当てる。

 森は1951年生まれ。群馬大学教育学部美術科を卒業後、東京藝術大学大学院修士課程基礎造形及び理論専攻を修了。大学在学中の73年からモダンアート展に出品し、以降継続出品。84年に正田壤を中心に14人で結成された「モダンアート群馬支部展」に参加し、現在群馬支部長。87年、モダンアート展会員推挙。97年には太田市民文化奨励賞を受賞した。太田市周辺の現代美術を展観する「太田市現代美術展」や「おおたビエンナーレ」の企画・運営も行い、長年にわたって太田市の芸術振興に寄与している。

 現在も太田市に在住し、造形作家として「構成」および「視覚効果」をメインテーマに多岐にわたる仕事を行ってきた森。錯視効果を追求した抽象絵画シリーズ「Allusion」、基本形体の反復による立体および半立体造形、安価な既製品を用いて素材の特性を効果的に作品化した「百均造形」、素材と形に光を組み合わせた作品、さらにインスタレーションなど多様な作品を手がけてきた。一見して共通点がないように思える制作は、しかしそこに一貫して「形体の構成」と、それによる「視覚効果」の追求というメインテーマが横たわっている。

 このように展開されてきた作品制作を、森は「造形実験」と呼ぶ。かたち、色、素材をもとにイメージし、頭と手を駆使して構成し、作品にしていく過程を、森は実験になぞらえている。実験の積み重ねにより生まれた多くの作品は、私たちの前に現われることで視覚効果を発揮し、森が目指す作品として初めて存在することになる。

 本展では、森が実践してきた数多くの造形実験の成果を各シリーズから紹介。館内には、私たちが見知っている基本的なかたち、身の回りにある日用品などが、素材とかたちの多角的なとらえ方とその構成により、多彩なイメージとして広がる。森が繰り広げる軽快でリズミカルな造形実験の軌跡を楽しんでほしい。