EXHIBITIONS

花代「hanayo IV – Keep an Eye Shut I」

花代 Untitled 1997 © Hanayo

 花代の個展「hanayo IV - Keep an Eye Shut I」がタカ・イシイギャラリー フォトグラフィー/フィルムで開催。デビューから30年にわたる写真活動を総括する写真集『Keep an Eye Shut』の刊行を記念した本展は、POST(恵比寿、〜8月15日)、アニエスベー ギャラリー ブティック(南青山、〜9月8日)との同時期開催となる。

 1980年代末よりそのキャリアをスタートした花代。芸妓、モデル、女優、歌手、パフォーマー、写真家、アーティストなど多領域を横断しながらも「花ワールド(Jérôme Sans)」と評される無二の世界観を根源に独自の表現を展開してきた。

 中学校で写真部に入部した花代は、祖父の形見として父親からオリンパスのハーフサイズカメラを譲り受け、89年頃から身の回りの事象や出会った人々を写真に収め始めた。高校時代には友人と同人誌『女子高生通信』を創刊したほか、カルチャー誌『宝島』の連載小説『東京トンガリキッズ』でモデルを務めた。19歳で半玉修行を始め、日本のテレビ番組や舞台などへ出演。イギリスの雑誌『ザ・フェイス』の表紙を芸妓姿で飾るなど、一躍時代のアイコンとして活躍の場を広げていった。これらの活動の傍らで花代は継続的に写真を撮影。ロンドンへ渡った96年には『ハナヨメ』で写真家としてデビューし、ヴィヴィッドで瑞々しいイメージで注目を集めた。

 本展では、96年に開催されたタカ・イシイギャラリーでの初個展「花代」での展示作品を含む、89年頃〜96年頃までの初期作品を中心に展示する。

 96年は、のちに花代の作品世界において欠かすことのできない重要なモチーフとなる愛娘・点子が生まれた年でもある。本展にて紹介する点子誕生以前の作品では、東京にある実家の一室や留学先のパリで撮影された作品が多くを占めており、点子をはじめとした花代の周辺の人々が頻繫に登場する渡英以降の作品とは対照的だ。当時集めていたオブジェや人形などのおもちゃを被写体とした作品には、花代が生み出した虚構の景色が切り取られたシュルレアリスティックな世界が広がっている。