EXHIBITIONS

蒔絵の時代

ー高台寺蒔絵と名工の誕生ー

2021.07.17 - 08.22

五十嵐道甫 秋野蒔絵硯箱 江戸時代 17世紀 個人蔵 重要文化財 展示期間:8月11日~8月22日

 MIHO MUSEUMが夏季特別展「蒔絵の時代ー高台寺蒔絵と名工の誕生ー」を開催。蒔絵の二大流派、幸阿弥派と五十嵐派による大名調度や、数寄茶人が愛でる嵯峨棗(さがなつめ)の名品が一堂に集う。

 蒔絵とは、漆で絵や模様を描いて金粉などを蒔き、漆器の表面を装飾する技法。正倉院宝物にその初源的な技法が見られ、平安時代には日本独自の発達を遂げていたことが伝世する遺品からわかっている。

 安土桃山時代の乱世の終息とともに有力戦国武将たちは、城や邸宅、寺院や社殿の建設を手がけ、その室内の装飾から調度・飲食器に至るまで漆芸を好んで蒔絵で装飾した。中世には寺社の器物や貴族の調度に限られていた蒔絵の範囲が、近世に入って大きく広がり、そして社会が安定し経済力が増すに従い、蒔絵はより多くの階層にも親しまれるようになっていった。

 本展は、桃山時代に一世を風靡した「高台寺蒔絵」にはじまり、蒔絵が大きく展開・深化した近世初頭〜江戸時代前半の蒔絵作品を中心に展示。新興の蒔絵屋と伝統的な蒔絵師という2つの流れを紹介し、続く名工誕生の時代までを展観する。