EXHIBITIONS

アート×コミュニケーション=キース・ヘリング展

2021.07.17 - 09.26

キース・へリング イコンズ 1990 中村キース・ヘリング美術館蔵
Keith Haring Artwork © Keith Haring Foundation Courtesy of Nakamura Keith Haring Collection

キース・へリング 無題 1985 中村キース・ヘリング美術館蔵
Keith Haring Artwork © Keith Haring Foundation Courtesy of Nakamura Keith Haring Collection

キース・へリング ポップショップ・クワッドVI 1989 中村キース・へリング美術館蔵
Keith Haring Artwork © Keith Haring Foundation Courtesy of Nakamura Keith Haring Collection

 札幌芸術の森美術館で「アート×コミュニケーション=キース・へリング展」が開催。本展は、山梨県北杜市にある中村キース・ヘリング美術館が所有する貴重なコレクション約160点により構成される。

 ニューヨークの地下鉄駅の広告板にゲリラ的にラクガキをする「サブウェイ・ドローイング」で一躍有名になったキース・ヘリング(1958〜1990)。1980年代のアメリカ美術を代表するアーティストとして、絵画だけでなく、彫刻やアニメーション、舞台デザイン、絵本、レコードジャケットなども手がけた。

 ヘリングは「アートはすべての人のためにあるべきだ」と考え、デザイングッズを販売する「ポップショップ」を開店して富裕層以外の人々にもアートを身近なものにした。また世界中の子供たちとワークショップを行い、反戦反核、人種差別撤廃、エイズ流行終結のためのポスターを制作するなど、社会的な活動にも多く取り組んだ。

 本展では、ヘリングの初期の活動を象徴する貴重な「サブウェイ・ドローイング」を公開。ヘリングにとって無限の可能性を秘めた存在であり、つながりを大切にしていた子供たちのための《赤と青の物語》など、鑑賞者が自由に絵のストーリーを考えることのできる作品も紹介する。さらに、芸術活動のひとつとして注力した「ポップショップ」のグッズを展示するほか、特設ショップでも作品を販売する。

 大衆のために生み出された作品、生前の社会的な活動によっていまも多くの人を魅了するヘリング。新型コロナウイルス感染症の世界的な流行の影響で、人々が物理的にも精神的にも疎遠になりがちな昨今、「アートを通じてコミュニケーションをしたい」と語ったヘリングの作品は、人々を分断する溝を埋め、より一層の輝きを放つことだろう。