小瀬村真美 展 解剖学的観察 Anatomical Observation

　絵画の構図や写真加工を利用した「静物動画」を手がけてきた小瀬村真美の個展が、MITSUKOSHI CONTEMPORARY GALLERYで開催される。

　今回のテーマは解剖学的観察。小瀬村が近年行っている絵画の構造を解体するような「西洋絵画の解剖」と、新シリーズを公開する「図鑑 ―写生帖と植物画―」の大きく2つのパートで展示を構成し、もの、さらには絵画を「解剖学的に観察する視点」を強調することで、鑑賞者にこれまでと異なる視点を提示する。

「西洋絵画の解剖」のパートでは、古典絵画を解体する作品シリーズから、数ヶ月の撮影を1枚の合成写真に凝縮した《餐 Banquet》、絵画の模倣の過程を連番写真として記録した《粧 Guise》を制作の裏側とともに紹介する。

「図鑑 ―写生帖と植物画―」パートでは、新作の写真シリーズ「解剖学的観察 Anatomical Observation」をはじめ、研究目的で描かれた植物画をベースとした精密な写真作品、草花や虫などの観察のために描かれた日本のスケッチブックである写生帖に基づく映像作品《蝶 Butterfly》などが展示される。

　絵画の持つ虚偽的で理想化された世界を眼前に生々しく再現することは、通常誰しも持っているような思い込みや社会通念の脆さを露呈させるいっぽう、その露呈された崩壊後の姿は、静けさと無常の美意識を感じさせる。小瀬村のマニアックで、しかし新鮮な感覚を会場で体感してほしい。