EXHIBITIONS

開館70周年記念 空間の中のフォルム

―アルベルト・ジャコメッティから桑山忠明まで

アルベルト・ジャコメッティ 裸婦小立像 1946頃 神奈川県立近代美術館蔵

最上壽之 トントンビョウシ ノ アシビョウシ 1989 神奈川県立近代美術館蔵

山本正道 遺跡の見える風景 1976 神奈川県立近代美術館蔵

 神奈川県立近代美術館は、開館70年の節目に企画展「開館70周年記念 空間の中のフォルム ―アルベルト・ジャコメッティから桑山忠明まで」を開催する。

 日本初の公立近代美術館として1951年に鎌倉で開館した神奈川県立近代美術館。以来、同館は空間の中の多様なフォルムを追求してきた同時代の彫刻家たちによる、彫刻・立体作品を積極的に収集・保存し展示してきた。

 その70年の歩みを記念する本展では、9つのテーマによる特集コーナーを交えて、同館を代表する収蔵品80点以上を展示。同館がいままでに蓄積してきた彫刻作品と収集の歩みを振り返る。

 主な出品作は、アルベルト・ ジャコメッティ《裸婦小立像》(1946頃)や桑山忠明のインスタレーション《無題》(2004)、今回32年ぶりに公開される最上壽之(ひさゆき)の大型木彫《トントンビョウシノアシビョウシ》(1989)。また、マルタ・パン 《モニュメント—桜》(1995年)や宮崎進《無題》(1990頃)、小杉武久《Interspersion for Light and Sound 光と音の点在》 (2000/再制作2020)など、新規に収蔵された名品も披露する。

 新収蔵作家のひとりであるマルタ・パン(1923〜2008)は、ハンガリー出身の彫刻家。都市や自然との調和をテーマとした作品は石や樹脂、金属、コンクリートなどによる素材が多く、その美しいフォルムが特徴的で、2020年に寄贈された 《モニュメント—桜》は、作品名にもなっている桜の集成材を用いた貴重な作品だ。

 私たちを包む空間と、様々なフォルムの豊かな対話を感じるまたとない機会となる本展。コレクションの展示に加え、作品を将来へと引き継いでいくための保存修復などの美術館活動も紹介する。