EXHIBITIONS

まちだゆかりの作家 門坂流

門坂流 満開の桜 2005 町田市立国際版画美術館蔵

門坂流 新作能『オンディーヌ』 2011 町田市立国際版画美術館蔵

 門坂流(かどさか・りゅう、1948〜2014)は、東京・町田市にアトリエを構えて活動した版画家・イラストレーター。町田市立国際版画美術館は、2016年度に作家の遺族から寄贈を受け、約250点の版画を収蔵した。本展「まちだゆかりの作家 門坂流」では寄贈作品より40点を展示し、門坂の作品の魅力を紹介する。

 1948年に京都で生まれた門坂は高校生の時、フェルメールの作品に感銘を受けて美術の道を志した。73年から鉛筆画・ペン画を始め、書籍や雑誌のイラストレーターとして活動。版画を制作し始めたのは85年のことで、「ビュラン」と呼ばれる専用の刃物を使う「エングレーヴィング」という習得の難しい銅版画の技法を、独学ながら瞬く間に身につけた。

 門坂の作品の特徴は流麗な線。ビュランの鋭い刃先によって銅板に刻まれたその線は、流れるような動きによって時の流れをも想起させる。また門坂の視線と刻線は、とらえがたい水の流れや大気の動き、草木の生命力や化石が経た長い時間までも表現している。

 本展では、門坂が主に用いたエングレーヴィングの作品だけでなく、ペン画の描線を伝えるリトグラフや、にじみのある線をつくり出すドライポイントなど、ほかの版画の技法による作品も展示。異国の街並みから身近な人物まで、様々なテーマやモチーフも見どころとなる。

※町田市立国際版画美術館は、東京都の緊急事態宣言発出を受け、4月25日〜5月31日まで臨時休館。最新情報は公式ウェブサイトへ。