EXHIBITIONS

私のマル 小野田實展

2021.04.10 - 06.20

小野田實 WORK 70-11 1970 姫路市立美術館蔵

 小野田實(おのだ・みのる)は、国際的にも再評価が高まる「具体美術協会(具体)」の会員として知られ、日本の戦後美術を語るうえで重要な前衛画家のひとり。1937年に満州に生まれ、終戦の前年に姫路に移った小野田は、2008年に生涯を閉じるまで、姫路を拠点に制作を続けた。その活動は地域に現代美術の萌芽を促し、重要な足跡を残している。

 小野田についてとりわけ注目されているのは、吉原治良率いる戦後日本の前衛アーティスト集団・具体での活躍だ。1965〜72年の解散まで同協会に属し出品を重ねた小野田は、具体の海外での再評価のうねりのなかで、独自の造形言語によって存在感を示した。

 生涯、自身の根底にある哲学的思考を作品化し続けた小野田。ミクロな個としての極めて個人的な観念を世界共通言語に変換する造形言語が小野田の「私のマル」であり、それはボーダレスな概念を社会に突きつけるものだった。

 小野田の過去最大規模の回顧展となる本展は、初期から最晩年までの画業を網羅。いまなお雄弁な小野田の「私のマル」を世界に発信する。