EXHIBITIONS
平塚良一「avant / arrière」
画家・平塚良一の個展「avant / arrière」がs+artsで開催されている。
平塚は1947年埼玉県生まれ。日本大学理工学部工業化学科を卒業後、パリ国立美術学校絵画科でディプロムを取得。独自の視点で見出された素材を用い、「現実を考える姿勢」について長年追求している作家だ。近年の作品では、パネルに落ち葉を接着し、その上に和紙を載せて輪郭や葉脈を黒く写し取るフロッタージュシリーズ、鮮やかな色彩をフロッタージュの数ミリのずれに加えるシリーズ、規則的に小さなドットを配置したシリーズ、人型をした小さなフィギュアを配置した「開かれた孤独」シリーズ、墨を使ったシリーズなど、表現方法は多岐に渡り、つねに新しい表現方法を探っている。
「絵画は、支持体に色を接着したり、削り取ったりすることで出来ている」ととらえる平塚。このような発想に至るのは、60年代末〜70年代にかけて絵画に関する根本的な問題提起を行ったことで知られているフランスの「シュポール/シュルファス」の理論を引き継いでいるからだと言う。当時フランスに留学していた平塚は、絵画的なイメージを問題とするのではなく、絵画が現実空間のなかでの物体であることを顕在化しようとしたこの美術運動を目の当たりにし、大きな影響を受けた。「表面と支持体」という言葉が、平面作品を構造的に理解させたと平塚は語っている。
展覧会タイトルの「avant / arrière」とはフランス語で「表 / 裏」のこと。本展では、主に墨液を和紙の裏側から表側へ滲み出させる技法で制作された新作を発表する。
今作で注目したいのは、和紙の表、裏、さらには支持体にまで墨液の痕跡が滲みでている点。墨を使用することによって現れる予想外の痕跡を、空間に存在する現実として受け止め、表裏問わず手を加えて作品が生まれる。自然現象なのか、記憶のなかに残された風景なのか、そこへ様々な方法で手を加えることにより、自身が存在している痕跡を残して行くのが、平塚の制作への姿勢だ。様々な素材を扱う技術に長けている平塚が、偶発的に発生する自然の不思議に対し、作品制作を通じて模索する。新作のほか、これまで未発表だった作品も紹介する。
平塚は1947年埼玉県生まれ。日本大学理工学部工業化学科を卒業後、パリ国立美術学校絵画科でディプロムを取得。独自の視点で見出された素材を用い、「現実を考える姿勢」について長年追求している作家だ。近年の作品では、パネルに落ち葉を接着し、その上に和紙を載せて輪郭や葉脈を黒く写し取るフロッタージュシリーズ、鮮やかな色彩をフロッタージュの数ミリのずれに加えるシリーズ、規則的に小さなドットを配置したシリーズ、人型をした小さなフィギュアを配置した「開かれた孤独」シリーズ、墨を使ったシリーズなど、表現方法は多岐に渡り、つねに新しい表現方法を探っている。
「絵画は、支持体に色を接着したり、削り取ったりすることで出来ている」ととらえる平塚。このような発想に至るのは、60年代末〜70年代にかけて絵画に関する根本的な問題提起を行ったことで知られているフランスの「シュポール/シュルファス」の理論を引き継いでいるからだと言う。当時フランスに留学していた平塚は、絵画的なイメージを問題とするのではなく、絵画が現実空間のなかでの物体であることを顕在化しようとしたこの美術運動を目の当たりにし、大きな影響を受けた。「表面と支持体」という言葉が、平面作品を構造的に理解させたと平塚は語っている。
展覧会タイトルの「avant / arrière」とはフランス語で「表 / 裏」のこと。本展では、主に墨液を和紙の裏側から表側へ滲み出させる技法で制作された新作を発表する。
今作で注目したいのは、和紙の表、裏、さらには支持体にまで墨液の痕跡が滲みでている点。墨を使用することによって現れる予想外の痕跡を、空間に存在する現実として受け止め、表裏問わず手を加えて作品が生まれる。自然現象なのか、記憶のなかに残された風景なのか、そこへ様々な方法で手を加えることにより、自身が存在している痕跡を残して行くのが、平塚の制作への姿勢だ。様々な素材を扱う技術に長けている平塚が、偶発的に発生する自然の不思議に対し、作品制作を通じて模索する。新作のほか、これまで未発表だった作品も紹介する。

