EXHIBITIONS

石内都展 見える見えない、写真のゆくえ

石内都 Frida Love and Pain #40 2012

石内都 sa・bo・ten #3 2013

石内都 Moving Away #23 2017

 日本を代表する写真家のひとり・石内都の個展「見える見えない、写真のゆくえ」が開催されている。

 石内は1947年群馬県桐生市生まれ。多摩美術大学で染織を学んだ後、写真を始めた。写真に関する専門的な教育を受けず、独学で技術を習得した石内は、従来の写真形式に縛られることなく、粒子が浮かび上がるモノクロームの写真で独自の表現手法を身につけていった。

 77年、石内は自身が幼少期から青春時代までを過ごした横須賀の街を撮影した「絶唱、横須賀ストーリー」を初個展で発表し、79年には「APARTMENT」で木村伊兵衛賞を受賞。以後、石内は赤線跡の建物や身体に残る傷跡、母親の下着や口紅といった遺品などを撮ることで、目には見えない「時間」を写真に写し込む試みを続ける。独自の世界観を築いてきた石内の写真は、やがて国内外で高く評価されるようになり、2005年にはヴェネチア・ビエンナーレ日本館代表作家として選出される。14年には写真の世界で偉大な業績を残した者に授与されるハッセルブラッド国際写真賞を受賞する。

 18年、石内はそれまで活動の拠点としてきた横浜から生まれ故郷の桐生市へと移り、新たな一歩を踏み出した。時の移ろいのなかで様々な意味を持つようになった自作を前に、石内は写真の持つ記録性や役割と改めて向き合い、これからの「写真のゆくえ」について想いをめぐらせている。

 本展では初期作の「連夜の街」(ヴィンテージプリント)をはじめ、代表的なシリーズの、原爆による被爆者の遺品を写した「ひろしま」、またフリーダ・カーロの遺品を被写体とした「Frida by Ishiuchi」「Frida Love and Pain」を展示。加えて、これまで発表機会の少なかった薔薇やサボテンを撮ったシリーズ、国内初公開の「Moving Away」、そして新作「The Drowned」を出品し、石内の写真の新たな一面を紹介する。