EXHIBITIONS

凝然国師没後700年 特別展 鑑真和上と戒律のあゆみ

2021.03.27 - 04.18, 2021.04.20 - 05.16

鑑真和上坐像 奈良時代(8世紀) 奈良・唐招提寺 撮影=金井杜道 国宝 通期展示

金銅舎利容器(金亀舎利塔) 平安~鎌倉時代(12~13世紀) 奈良・唐招提寺 撮影=金井杜道 国宝 通期展示

円珍戒牒(部分)  平安時代 833(天長10)年 東京国立博物館蔵 国宝 前期展示=3月27日~4月18日

法然上人絵伝 巻十(部分)  鎌倉時代(14世紀) 京都・知恩院 国宝 後期展示=4月20日~5月16日

金銅装戒体箱(元応二年五月十二日朱漆銘) 鎌倉時代 1320(元応2)年 大阪・金剛寺 撮影=森村欣司 重要文化財 後期展示=4月20日~5月16日

 仏教の戒律に焦点を当てた特別展「鑑真和上と戒律のあゆみ」が、京都国立博物館 平成知新館で開催される。 

「戒律」にある「律」とは僧侶のあるべき姿を示し、戒とは僧俗の守るべき倫理基準のこと。戒律を学ぶことは、僧侶とは、仏教とは何かを問い直すことでもあり、日本が社会変動を迎えるたび、幾多の名僧が戒律に注目し仏教の革新運動を起こした。

 中国・唐代の道宣が大成した「律学」は、高僧・鑑真(がんじん)によって飛鳥時代の日本に伝えられた。鑑真は日本での戒律の整備を目指していた聖武天皇の意を受けた日本僧・栄叡(ようえい)、普照(ふしょう)の懇請に応え、五度の日本への渡航失敗と失明をものともせず、753(天平勝宝5)年に6度目にしてようやく日本の地を踏んだ。その後、鑑真は唐招提寺を拠点に、中国正統の律の教えを日本に定着させ、日本仏教の質を飛躍的に高めた。

 それから最澄や空海らが活動した奈良時代、これに法然や親鸞などが続いた平安時代、そして戒律運動の最盛期となった鎌倉時代。唐招提寺の覚盛(かくじょう)、西大寺の叡尊(えいそん)、泉涌寺の俊芿(しゅんじょう)をはじめ、凝然(ぎょうねん)といった英傑たちが戒律の精神に基づいて日本で社会福祉事業を行い、広範な支持を集めた。そして安定社会に見える近世においても、明忍(みょうにん)や慈雲(じうん)などによって、重要な律の復興運動が展開されることとなる。

 本展は、鑑真の坐像を45年ぶりに京都で公開するほか、今年で没後700年を迎える凝然の肖像画をもとに、彫刻家・籔内佐斗司が制作した坐像を特別に展示。日本仏教の発展に大きな役割を果たした鑑真の遺徳を唐招提寺の寺宝によって偲ぶとともに、明治時代に至るまでの戒律の教えが日本でたどった歩みを、宗派を超えた名宝によって紹介する。

※政府の要請により、新型コロナウイルス感染症の感染予防・拡散防止のため、京都国立博物館は4月25日〜5月11日まで全館臨時休館し、5月12日より再開予定。最新情報は公式ウェブサイトへ。