EXHIBITIONS

さまよえる絵筆ー東京・京都 戦時下の前衛画家たち

2021.03.27 - 05.23

杉全直 沈丁花 1942 うらわ美術館蔵

福沢一郎 女 1937 富岡市立美術博物館・福沢一郎記念美術館蔵

靉光 静物(雉) 1941 東京都現代美術館蔵

長谷川三郎 都制 1937 学校法人甲南学園 長谷川三郎記念ギャラリー蔵

難波田龍起 埴輪 板橋区立美術館蔵

 板橋区立美術館は、1930〜40年代の前衛絵画に焦点を当てた展覧会「さまよえる絵筆ー東京・京都 戦時下の前衛画家たち」を開催する。

 1930年代後半に最盛期を迎えた日本の前衛画壇。いっぽうで戦時中は表現の自由が制限され、日独伊防共協定の締結や太平洋戦争開戦などを機に、ルネサンス絵画や日本の埴輪や仏像といった、前衛とは対照的なものの紹介が盛んになった。

 美術文化協会の福沢一郎や靉光、麻生三郎、寺田政明、杉全直、吉井忠らに加え、同会に京都から参加した北脇昇や小牧源太郎、自由美術家協会の長谷川三郎、難波田龍起、そして新人画会の松本竣介ら。当時の画家たちは、西洋古典絵画を思わせる技法で描かれた人物画や静物画、日本の埴輪や仏像などを描いた作品などを展覧会で発表した。

 こうした動向から、戦時下の日本の前衛絵画は弾圧されたと見なされることもあるが、前衛画家たちの作品を見ていくと、それぞれが西洋や東洋・日本の伝統的な技法や題材に立ち戻ることで自身の立ち位置を確認し、時代のリアルな感覚を伝えるための新たな表現を模索していたことがうかがえる。

 本展では、戦時下の東京と京都という2つの都市で、前衛画家たちがそれぞれに現実を見つめ、描いた作品を当時の資料とともに展示。主な出展作家は、福沢一郎、靉光、麻生三郎、吉井忠、北脇昇、小牧源太郎、長谷川三郎、難波田龍起、松本竣介など(一部展示替えあり)。

※緊急事態宣言を受け、板橋区立美術館は4月26日~5月31日まで臨時休館。最新情報は公式ウェブサイトへ。