EXHIBITIONS

栖鳳の時代 ~匂いまで描く

2021.03.01 - 04.11

⽵内栖鳳 猛⻁ 通期展⽰

⽵内栖鳳 富嶽 通期展⽰

幸野楳嶺 蓮華之図 通期展⽰

 竹内栖鳳(1864〜1942)は、伝統文化を千年以上にわたって育んできた街・京都が生んだ日本画の天才。幕末の戦火の爪痕、そして天皇が江戸へ居を移したことで荒れはてた京都で生まれ育ち、最初に江戸時代から続く日本画の技法のなかでも主流であった四条派の絵を学んだ。

 その後、円山派や狩野派、南画などの伝統的な画風をも習得。さらには、J. M. W.ターナーやカミーユ・コローなど、当時最新の西洋画や写真の要素までも貪欲に取り入れた。

 また栖鳳が目指したのは、「省筆」という描き方。対象のすべてを丹念に写し取るのではなく、選び抜かれた筆の跡のみ画面に残して描き、画面上にとられた余白で人々の想像力に訴えかけた。その描き方は、栖鳳が生涯愛した俳句の世界に通じるものがあった。

 本展では、匂いや音・湿気までもが感じられると言われ、一世を風靡した栖鳳の動物画と風景画の大作などを展示。師・幸野楳嶺(1844〜1895)や、栖鳳とともに四天王と称された、菊池芳文(1862〜1918)、都路華香(1871〜1931)、谷口香嶠(1864〜1915)、そして橋本関雪、徳岡神泉、村上華岳ら個性豊かな弟子たちの作品も紹介する。