EXHIBITIONS

特集展示

アイヌ文化へのまなざし

-N.G.マンローの写真コレクションを中心に-

北海道沙流川アイヌ風俗写真「踊る人びとを撮影する映画カメラマン」 1930 国立歴史民俗博物館蔵
1930年12月、マンローの研究の目的で実施されたイヨマンテを、アイモという映画用カメラで撮影するカメラマンの姿。

 国立歴史民俗博物館は特集展示「アイヌ文化へのまなざし-N.G.マンローの写真コレクションを中心に-」を開催している。

 ニール・ゴードン・マンロー(1863~1942)はスコットランド出身の医師。1891年に来日して横浜で医業を営みながら考古学研究を行ったほか、アイヌ文化にも関心を深め、1930年に研究活動の拠点を北海道の二風谷(にぶたに)に移してアイヌ文化を研究した。

 同館は、マンローがアイヌ研究の過程で作成した写真資料のほか、クマの魂を神の国に送る儀式「イヨマンテ」の映画フィルムを所蔵。本展示では、それらの写真と映像を、マンロー自身が残したテキストとあわせて展示し、マンローが、当時のアイヌ文化をどのようにヨーロッパ社会に紹介しようとしていたのかを検証する。

 また、撮影されている資料の大きさや素材を理解しやすいよう、参考資料として同館蔵のアイヌ関係資料を展示するほか、マンローの編集による映画『The KAMUI IOMANDE』の短編版も上映。展示全体を通して、研究する側と、研究される側との信頼関係が可能にした記録の意味について考える。