EXHIBITIONS

企画展示 見世物の精華

国立劇場 伝統芸能情報館 1階 情報展示室
2021.02.06 - 05.26

錦絵 東都名所 両国橋夕涼全図 ※見世物小屋(両岸) 天保頃 江戸・両国 国立劇場蔵

錦絵 雷のはなれわざ 大坂下り・早竹虎吉(軽業 一念雷と筑紫の飛梅) 1857(安政4)年 江戸・両国 国立劇場蔵

 国立劇場では、長年をかけて収集してきた錦絵や絵番付などの「見世物」の資料509点を、『国立劇場所蔵 見世物資料図録』(図版オールカラー)として今年2月に刊行。これに合わせて伝統芸能情報館では、企画展示「見世物の精華」を開催している。展示の監修は図録の監修者でもある川添裕(横浜国立大学大学院教授)。

 かつて見世物は、庶民にもっとも親しまれた身近な芸能娯楽であった。とくに江戸時代後期には、江戸の両国や浅草、大坂の難波新地などで盛んに興行され、人々はとくに「曲芸」「細工見世物」「動物見世物」を楽しんだ。

「細工見世物」とは、よく知られた物語や歴史の場面、伝奇伝説人物、名所風景などを、各種素材の細工と、からくり、大道具大仕掛、人形ほかで仕組んで見せたもの。見世物は当時の庶民共有の話題であり、錦絵や絵番付など関連する出版物が数多く刊行されている。

 本展では、『国立劇場所蔵 見世物資料図録』に収録される資料の一部を公開。見世物小屋の賑わいを伝える錦絵《東都名所 両国橋夕涼全図》など貴重な品々を展示し、私たちがよって立つ過去の時代と文化を紹介する。

 なお連携展示として、国立演芸場の演芸資料展示室にて「見世物の『近代』—開国から明治の時代」展を開催中(~3月21日)。また3月13日には、展示監修の川添裕を迎えた講座「見世物の楽しみ」(伝統芸能情報館 3階レクチャー室)も予定している。