EXHIBITIONS

三島喜美代

艸居アネックス
2021.01.27 - 02.27

三島喜美代 メモリーⅢ 1969 ミクストメディア H162×W130.5cm

三島喜美代 作品 A 1970年代 ミクストメディア H162×W130.5cm

三島喜美代 作品 D 1970年代 ミクストメディア H130.5×W162cm

三島喜美代、Work 20-C4 2020 印刷したセラミックに手彩色・銅 H78×W56×D56cm

三島喜美代 Box Sunkist 20 2020 印刷したセラミックに手彩色 H37×W46×D38cm

 美術家・三島喜美代の京都国⽴近代美術館での「2020年度第4回コレクション展」(〜3月7日)の出展を記念して、⾋居アネックスでは、1960年代の平⾯作品から最新の⽴体作品までを展⽰する。

 三島は1932年⼤阪府⽣まれ。50年代より伊藤継郎のアトリエに通い絵画の制作を開始。その後、三島茂司に師事し、新聞紙、雑誌、⾺券、蚊帳など、印刷物や廃材を使⽤した実験的なコラージュ作品に取り組む。54〜69年にかけて出展した独⽴展(東京都美術館)では⼤阪市賞(1961)、独⽴賞・須⽥賞(1963)を受賞し、64年には「現代美術の動向―絵画と彫塑」展(国⽴近代美術館京都分館)に出品。その他、関⻄独⽴展、独⽴新⼈選抜展、朝⽇新⼈展などに出展し、⽇本の前衛美術において画家として頭⾓を現した。

 71年からは素材を⼟に移⾏し、新聞紙、広告ビラ、コミックブックなどをシルクスクリーンで⼟に転写した⽴体作品を制作。「氾濫する情報に埋没する恐怖」や「現代の消費社会から⽣み出されるゴミへの危惧感」を、割れる緊張感のある陶で表現することで、自身の表現の可能性を広げていった。

 2001〜05年には、廃棄物や下⽔汚泥の焼却灰などを⾼温で溶解してできる「溶解スラグ」を使って、巨⼤なゴミ箱の作品「もうひとつの再⽣ 2005−N」を直島に野外設置。19年には⼤英博物館で開催された「The Citi exhibition Manga」に出展し、同館に作品が収蔵され国内外でさらなる注⽬を浴びた。

「命がけで遊んでいます」と語る三島の作品は、現代の消費社会や情報社会に警笛をならしながらも、絶妙なユーモアに富み、どこか温かい⼈間味を感じさせる。画家としてキャリアを踏み出した三島が、現在の作⾵を確⽴するまでの歩みを展覧できる本展は、環境問題という課題を考え、私たちの将来を⾒つめる好機となるだろう。