EXHIBITIONS

ARTS & ROUTES -あわいをたどる旅-

2020.11.28 - 2021.03.07

本展リーフレットより

岩井成昭 展示風景より 撮影=草彅裕

岩井成昭 展示風景より 撮影=草彅裕

迎英里子 パフォーマンスの様子 撮影=草彅裕

迎英里子 パフォーマンスの様子 撮影=草彅裕

長坂有希 展示風景より 撮影=草彅裕

長坂有希 展示風景より 撮影=草彅裕

藤浩志 展示風景より 撮影=草彅裕

藤浩志 展示風景より 撮影=草彅裕

「ARTS & ROUTES -あわいをたどる旅-」は、江戸時代の紀行家・菅江真澄が残した記録に宿る創造性に着目した展覧会。第58回ヴェネチア・ビエンナーレで日本館のキュレーターを務めた服部浩之を企画監修に迎えて開催する。

 菅江真澄は江戸時代後期に東北をくまなく歩き、旅のなかで様々な土地に逗留した紀行家。その旅の過程において、それぞれの土地の文化習俗、風土、宗教や儀式、人々の生活の様子などを記録し続けた。

 本展では、アーティスト・研究者・デザイナーらが、フィールドワークやリサーチを手がかりに、現代美術の視点から菅江真澄の旅の軌跡をたどるプロジェクトを公開。参加作家は、岩井成昭、迎英里子、長坂有希、藤浩志の4名に加え、秋田人形道祖神、旅する地域考の各プロジェクトが出展する。

 岩井は、資本主義的消費と密接に結びついた自動車による旅へと遡行することから模索するプロジェクトを通して、アメリカニゼーションと放浪のイメージを考察。長坂は、菅江真澄が描いた木に着目した秋田市での滞在制作と個展(2019)での気づきと、青森県出来島海岸の最終氷期埋没林との遭遇を起点に、移動とエコロジーを模索する。

 屠畜や貿易、婚姻などの社会システムをモチーフとした作品を制作する迎は、人やものが国境などの境界を超えて移動する仕組みを調査し、それらを視覚化した空間でパフォーマンスを展開。藤は、自身の創造の根源でもある長年の収集や制作活動を、圧倒的他者の視点に立って観察することを試みた作品《Chuta Report 【チュウタの観察帖】》を発表する。

 これらのプロジェクトではテーマの中心に「菅江真澄」を据えながら、様々な領域のあわいから生まれる「旅と表現」の現在を探求。現代のアーティストが、出来事や時間といったかたちをもたないものを、展覧会へと描き出すことを試みる。