EXHIBITIONS

栗田宏一・須田悦弘展

- Contentment in the details -

2020.11.14 - 2021.01.31

左から、栗田宏一《soil library》、須田悦弘《泰山木:花》 千葉市美術館蔵

須田悦弘 雑草

栗田宏一 soil library

 栗田宏一と須田悦弘による展覧会「- Contentment in the details -」が山梨県立美術館で開催されている。

 栗田と須田はともに山梨県笛吹市出身、国際的にも活躍するアーティスト。栗田は自ら訪ね歩いた地で一握りの土を採集し、それを展示するという手法を取り、いっぽう須田は、朴の木を削り彩色した植物の彫刻を、空間に様々なかたちで展示するインスタレーションを展開してきた。本展では、私たちの日常のなかにもうひとつ別の世界を開いてくれる、ふたりの作品世界を紹介する。

 栗田は各地を旅して自分の手で土を集め、25年をかけて日本全国で訪れた旧市町村は3233ヶ所。栗田の作品は、一切着色などしていない、そのままの土が多様で美しい色に満ちていること、そして私たちが普段の生活のなかで、土の多彩さに気がつかずにいることを伝える。

 須田は、精巧な木彫を様々な空間に展示し、既存の空間のなかでも隅や物陰など、人の目につきにくい所に展示されることもしばしばある。あたかも建物から生えているかのように設置されることもある植物の木彫は、作品を探す楽しみや、私たちの空間に対する認識を覆す清新な驚きをもたらす。また専用の構造物を制作し、その中に植物を配するなど、いずれの展示方法でも鑑賞者は、須田による木彫と空間とが一体となったインスタレーション作品を体感することができる。

 本展は、大きく分けて4つの部屋でふたりの作品を展示。第1室は、栗田と須田の原点とも言えるべき作品と、故郷である山梨とのつながりを感じさせる作品を紹介する。

 第2、第3の部屋では、それぞれ個別に1室を使い、インスタレーションを展開。栗田は、日本全国から採集した1000の土を並べ、須田は、構造物の中で木彫を鑑賞するタイプの作品を複数発表する。そして第4室では、集積のごとく数多くの土を並べる栗田の作品と、空隙をぬうように配置される須田の作品を並置し、両者の共通点と相違点を対比させる。