EXHIBITIONS

榎忠「LSDF 020」展

ART BASE百島
2020.10.31 - 12.13

榎忠「LSDF 020」展より

 ART BASE百島は、広島県尾道市の離島・百島で閉校になった旧中学校舎を再活用し、アーティストの柳幸典と恊働者たちによる創作活動を通して、離島の創造的な再生を試みるアートセンター。今期の企画展のひとつでは、美術家・榎忠(えのき・ちゅう)による「LSDF 020展」が12月13日まで開催される。

 榎は1944年香川県生まれ。60年代後半から関西を中心に活動。前衛グループ「JAPAN KOBE ZERO」での活動(1970~76)を経た後、街中での会場探しから始め、自ら展覧会全体をつくり上げてきた。また型破りなパフォーマンスを発表していくなか、70年代末に小型大砲を制作したことを機に「兵器」によるアート作品に着手し、銃や大砲などを扱った作品、金属の廃材に新しい生命を吹き込んだ作品など、独自の世界を展開。現在も神戸を拠点に、場所を美術館やギャラリーに限ることなく活動を続けている。

 本展では、百島の古民家を改修した施設「乙1731-GOEMON HOUSE」の大広間を、実際に戦地で使用された約3トンの薬莢(やっきょう)が埋め尽くすインスタレーションを発表。そこに、鉄のスクラップを再利用して制作された大砲のオブジェ「Liberty C2H2」、旧ソ連製のAK-47と米国製のAR-15を模した鋳物のマシンガンを展示する。

 榎は、昭和時代の日本家屋に人間を殺傷してきた本物の「薬莢」と「兵器」をモチーフとした作品を同居させることで、自身の「Life Self Defense Force(自分の生活は自分で守る)」という信念を顕現させる。