岸田劉生展 ―写実から、写意へ―

　日本近代美術を代表する画家のひとり・岸田劉生（1891〜1929）。岸田は独自に西洋絵画を受容し、大正期に独特の写実で強烈な個性を発揮した。しかし制作のなかで次第に、対象の内面に潜む美を表現するようになったことでも知られている。

　岐阜県美術館は、岸田の画業を一望する「岸田劉生展 ―写実から、写意へ―」を開催。本展では、岸田の絵画、版画、さらには装丁画などを紹介することで、当初の西洋美術の受容による「写実」から、後半生に独特の展開を見せた日本画や、東洋的な装丁の「写意」への帰結までの全画業を展望する。

　出品作は、笠間日動美術館のコレクションを中心に、貴重な初期作品から、岸田が己の内に潜む美を表現した油彩画、装丁画、そして晩年の日本画まで。あわせて、代表作《自画像》をはじめとする油彩画など岐阜県美術館に新収蔵されたコレクションを、岐阜との関係を交えながら初披露する（会期中、展示替えあり）。