EXHIBITIONS

棚田康司「その場に、これ」

2020.11.06 - 12.05

棚田康司 つづら折りの少女その3(部分) 2020 撮影=宮島径 © TANADA Koji Courtesy of Mizuma Art Gallery

 少年少女の立像を制作し続ける彫刻家・棚田康司の個展「その場に、これ」がvoid+で開催される。会期は12月5日まで。

 棚田は1968兵庫県生まれ。93年に東京造形大学造形学部美術学科II類(彫刻)を卒業し、95年に東京藝術大学大学院美術研究科彫刻専攻を修了。2001年、文化庁芸術家在外研修員としベルリンに滞在。16年にはインドネシア・バンドゥンにて、シンガポールにて滞在制作を行った。

 棚田はこれまで日本古来の伝統的技法の一木造りにより、一貫して人間像を制作してきた。樟木を素材に削り出す像は、木がもつ生命力や霊気をも反映させたかのような、ピュアなあどけなさがまだ残る少年や、清楚な女性が多く登場する。細長い胴体を支えるか細い足と伸びる腕はバランスを危うげに保ちながら自立し、上下に伸びる力強いその佇まいから存在の強さや神秘性さえ感じさせる。

 本展は、新作と国内未発表の作品などで構成。ギャラリー、サロン、新しく新設したアートショップ「void+stock」の3ヶ所で作品が展示され、それぞれ異なる展示空間にある作品は、「その場」に立ち入る鑑賞者に「その場」の意味を考える機会を与える。