EXHIBITIONS

関優花 個展「私をばらばらに説明する」

素人の乱12号店「ナオ ナカムラ」
2020.11.06 - 11.10

メインビジュアル

関優花 私らへの備忘録 2020 パフォーマンス 撮影=rhythmsift

 2011年、ノマドギャラリーとしてスタートしたナオナカムラが約2年ぶりに再始動。同ギャラリーでは2度目となる、関優花の個展「私をばらばらに説明する」を開催する。

 関は1997年生まれ。美学校の現代美術講座「外道ノスゝメ」を修了後、筑波大学芸術専門学群特別カリキュラム版画コースを卒業。これまでに、日の出から日没まで太陽にたどり着こうと走り続ける《太陽まで走る》(2017)や、Googleストリートビュー上に映し出された何の変哲もない風景について詳細に説明を行い続ける《うまく話せなくなる》(2018)など、いずれも自身の身体的経験をもとに、展示空間で長時間にわたってある行為を反復し続けるパフォーマンス作品を中心に発表している。現在は横浜国立大学大学院都市イノベーション学府建築都市文化専攻Y-GSCに在学。

 関は健康と体調不良のあいだを行き来する自身の体調の変化に注目し、生産性や効率性に反する 「弱い体」のあり方の可能性を探求してきた。しかし昨年、ある病気を患い体調を大きく崩してしまったことをきっかけに、かつての自分が失われ、それまでに行った作品や活動が急に破綻してしまったような感覚を経験したという。

「突然訪れた断絶のなかで、私という個人をどのように存続できるのか」。この問いへの応答を作品を通して試みる本展は、いままで関がパフォーマンス作品を上演するなかで感じてきた、展示空間内にいる個人がその固有の具体性を失い、「女性」や「パフォーマー」、「アーティスト」といった単純な属性にカテゴライズされてしまうことへの違和感とも呼応する。

 また、関は本展を「中村奈央との共同制作」と考えている。「私自身のことについて人に伝えるには、それを物語化するのでも一般化するのでもなく、私以外の具体的な個人との関係性のなかで私について語ることが必要だと思う」とし、自身の問いを共有可能なものにするために、数年来の友人であり、ともにアートという共通の活動を行ってきた関係性にある「中村奈央」という存在を展覧会へ導入する。

 本展「私をばらばらに説明する」は、ばらばらとした状態でしかあり得ない「私」という存在の表明。不確かでつねに修正を繰り返す、一貫性のない存在をどのように説明するのか。関と中村にとって重要な節目となる本展に注目してほしい。